专利摘要:
本発明は、式(1)の化合物:またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体を提供し; 式中、R1はR1aであり、R2はR2aであるか;またはR1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり; R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく; R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;かつ R3は基Dであり: 式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表すが;しかし酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステルを除く。
公开号:JP2011516536A
申请号:JP2011503505
申请日:2009-04-09
公开日:2011-05-26
发明作者:ブライアン、ジョン、ウィリアムス;マーティン、フレデリクソン
申请人:アステックス、セラピューティックス、リミテッドAstex Therapeutics Limited;
IPC主号:C07D209-44
专利说明:

[0001] 本願は、2008年4月11日に出願の米国特許仮出願番号第61/044,256号および2008年4月11日に出願の英国特許出願番号第0806527.8号に関連し、これら出願はいずれも全体として参照により本書に援用される。]
技術分野

[0002] 本発明は、熱ショックタンパク質90(Hsp90)の活性を阻害または修飾する化合物のプロドラッグ、Hsp90により仲介される病態もしくは症状の治療または予防における当該プロドラッグの使用、および生体内で分解してHsp90阻害または修飾活性を有する化合物を生じる新規なプロドラッグに関する。また当該プロドラッグを含有する医薬組成物を提供する]
背景技術

[0003] 熱、毒素、放射線、感染、炎症および酸化体を含む細胞ストレスに応答して、すべての細胞は共通の一連の熱ショックタンパク質(Hsp)を産生する(マカリオ(Macario)およびデマカリオ(de Macario)2000年)。大部分の熱ショックタンパク質は分子シャペロンとして作用する。シャペロンは、折りたたみの中間段階でタンパク質と結合し安定化させ、タンパク質がその機能的状態に折りたたまれることを可能にする。Hsp90は正常条件下で最も豊富にあるサイトゾルHspである。Hsp90の2つのヒトアイソフォーム(メジャーな誘導される型のHsp90αおよびマイナーな構成的に発現される型のHsp90β)および細胞内局在に限定される2つの他の非常によく関連したシャペロン(小胞体のGP96/GRP94;ミトコンドリアのTRAP1)がある。特に明記しない限り、本明細書ではHSP90なる語はこれらのアナログをすべて包含する。Hsp90は折りたたみの後期段階でタンパク質を結合し、大部分のそのタンパク質基質がシグナル伝達に関与するという点で他のHspとは区別される。Hsp90は、細菌性ジャイレース、トポイソメラーゼ、およびヒスチジンキナーゼに特徴的であるのベルジュラ(Bergerat)折りたたみを含む、固有のATP結合部位を有する。Hsp90のN末端ポケットにて結合したATPは加水分解されていることが示されている。このATPアーゼ活性は、クライアントタンパク質におけるコンフォメーション変化を可能にするために必要とされるHsp90におけるコンフォメーション変化をもたらす。]
[0004] 二量体化ドメインおよび第2のATP結合部位(これはATPアーゼ活性を調節し得る)は、Hsp90のC末端の近くに見られる。HSP90の二量体化はATP加水分解のために重要な意味を持つようである。Hsp90の活性化は様々な他のシャペロンタンパク質との相互作用を介してさらに調節され、Hsp70、Hip、Hop、p23、およびp50cdc37を含む他のシャペロンとの複合体中に単離することができる。他の多くのコシャペロンタンパク質もHSP90と結合することが実証されている。アミノ末端ポケットへ結合するATPが、マルチシャペロン複合体との会合を可能にするようにHsp90コンフォメーションを変更する、単純化されたモデルが出現した。第一に、クライアントタンパク質がHsp70/Hsp40複合体へ結合される。次にこの複合体はHopを介してHsp90と会合する。ADPがATPにより置換される場合、Hsp90のコンフォメーションが変化し、HopおよびHsp70が遊離され、p50cdc37およびp23を含むコシャペロンの異なるセットが動員される。ATPの加水分解は、成熟複合体からの当該コシャペロンおよびクライアントタンパク質の遊離を結果的にもたらす。アンサマイシン抗生物質ハービマイシン、ゲルダナマイシン(GA)、および17−アリルアミノ−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)は、ATPの結合をブロックし成熟複合体への変換を防ぐATP結合部位阻害剤である(グレナート(Grenert)ら、1997年、「ジャーナル・オブ・バイオロジカルケミストリー(J. Biol. Chem.)」、272:23834〜23850)。]
[0005] Hsp90は遍在的に発現しているにもかかわらず、GAは、正常細胞株と対比して腫瘍細胞株に由来したHsp90に高い結合親和性を有する(カマル(Kamal)ら、「ネイチャー」、2003年;425:407〜410)。GAはまた、腫瘍細胞においてさらに強力な細胞毒性活性を示し、異種移植マウスモデルにおいて腫瘍内でさらに高い濃度で隔離されている(ブラジデック(Brazidec)、「ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)」2004年、47、3865〜3873)。さらに、Hsp90のATPアーゼ活性は癌細胞の中で増加しており、癌細胞中のストレスレベルの増加を示している。Hsp90遺伝子増幅もまた、癌の後期段階において生じることもまた報告されている(ジョリー(Jolly)およびモリモト(Morimoto)、「ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(JNCI)」第92巻、第19号、1564〜1572、2000年)。]
[0006] 癌表現型に関連した遺伝的不安定性が増加すると、変性タンパク質または変異タンパク質の産生が増加する。ユビキチン経路はまた、プロテアソームによる分解のために変性タンパク質または誤って折りたたまれたタンパク質を標的とすることにより、これらのタンパク質から細胞を防御する働きをする。変異タンパク質は本来的に変性しており、したがって構造的に不安定である可能性があり、シャペロン系に対する必要性が大きい(ジャンニーニ(Giannini)ら、「モレキュラーセルバイオロジー(Mol.Cell Biol.)」2004年;24(13):5667〜76)。]
[0007] 正常細胞中の「潜在的」複合体とは対照的に腫瘍細胞中の「活性化」マルチシャペロン複合体内でHsp90が主に見出されるといういくつかの証拠がある。マルチシャペロン複合体のうちの1つの成分は、cdc37コシャペロンである。Cdc37はATP結合部位の基部でHsp90を結合し、「活性化」状態のHsp90へ結合したインヒビターの解離速度に影響し得る(ロー(Roe)ら、「セル(Cell)」116、(2004年)、pp.87〜98)。シャペロン複合体のHsp90−Hsp70型へ結合したクライアントタンパク質は、ユビキチン化や、分解のためにプロテアソームへの標的化に対してより感受性があると考えられている。E3ユビキチンリガーゼはシャペロン相互作用モチーフにより同定され、そのうちの1つ(CHIP)はHsp90クライアントタンパク質のユビキチン化および分解を促進することが示された(コネル(Connell)ら、2001年.シュー(Xu)ら、2002年)。]
[0008] Hsp90クライアントタンパク質
報告されているHsp90クライアントタンパク質の数は現在100を超える。そのクライアントタンパク質の多くが細胞シグナル伝達、増殖、および生存に関与するので、Hsp90は腫瘍学の対象として大きな関心を得ている。特に2つのグループのクライアントタンパク質(細胞シグナル伝達プロテインキナーゼおよび転写因子)が、Hsp90の調節が抗癌療法として有益である可能性があることを示唆している。細胞増殖および生存に関係するHsp90プロテインキナーゼクライアントタンパク質は下記のものを含む。]
[0009] c−Src
細胞Src(c−Src)は、表皮増殖因子受容体(EGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、コロニー刺激因子−1(CSF−1R)、および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFR)についての受容体を含む複数の増殖因子受容体によって開始される有糸分裂誘発のために必要とされる受容体チロシンキナーゼである。c−Srcもまた、EGFRおよびErbB2を過剰発現する同じヒト癌の多くにおいて、過剰発現および活性化される。Srcは、Srcが破骨細胞機能を調節することを介して通常の骨ホメオスタシスの維持のためにもまた必要とされる。]
[0010] p185erbB2
ErbB2(Her2/neu)は、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、および胃癌を含む様々な悪性腫瘍において過剰発現される受容体チロシンキナーゼである。ErbB2は、もとは癌遺伝子として同定され、Hsp90の阻害はerbB2のポリユビキチン化および分解をもたらす。]
[0011] ポロ有糸分裂キナーゼ
ポロ様キナーゼ(Plk)はM期中の細胞周期進行に重要なレギュレーターである。Plkは、紡錘体装置の集合およびCDK/サイクリン複合体の活性化に関与する。Plk1は、Cdc25Cのリン酸化および活性化を介してCDKのチロシン脱リン酸化を調節する。CDK1活性化はひいては紡錘体形成およびM期への進入につながる。]
[0012] Akt(PKB)
Aktは、細胞増殖を刺激しアポトーシスを抑制することによって細胞増殖を調節する経路に関与する。アンサマイシンによるHsp90の阻害は、ユビキチン化およびプロテアソームによる分解を介してAkt半減期の減少をもたらす。Hsp90へのcdc37の結合はまたAktのダウンレギュレーションのために必要とされる。アンサマイシン処理に続いて、癌細胞は処理の24時間後に細胞周期のG2/M期において停止し、24〜48時間後にアポトーシスへと進行する。正常細胞もまたアンサマイシン処理の24時間後に停止するが、アポトーシスへは進行しない。]
[0013] c−Raf、B−RAF、Mek
RAS−RAF−MEK−ERK−MAPキナーゼ経路は、増殖シグナルに対する細胞応答を仲介する。RASはヒト癌のおよそ15%において腫瘍形成型へ変異している。3種類のRAF遺伝子は、RASの結合によって調節されるセリン/スレオニンキナーゼである。]
[0014] EGFR
表皮増殖因子受容体(EGFR)は、細胞の成長、分化、増殖、生存、アポトーシス、および移動に関係する。EGFRの過剰発現は様々な癌において見出され、EGFRのキナーゼドメインの活性化変異は肺の腺癌のサブセットにおいて病因性であると思われる。]
[0015] Flt3
FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)は、細胞の増殖、分化、およびアポトーシスに関与する受容体チロシンキナーゼである。Flt3活性化もまた、ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)およびRASシグナル伝達カスケードの活性化につながる。]
[0016] c−Met
c−metは、肝細胞増殖因子(HGF)を結合し、細胞運動性および細胞増殖の両方を調節する受容体チロシンキナーゼである。c−metは、甲状腺癌、胃癌、膵臓癌、および結腸癌を含む腫瘍において過剰発現される。HGFもまた肝転移を含む腫瘍の周囲で検出される。このことは、c−metおよびHGFが浸潤および転移に重要な役割を果たすことを示唆する。]
[0017] Cdk1、Cdk2、Cdk4、Cdk6
Cdk1、Cdk2、Cdk4およびCdk6は、細胞周期を駆動する。CDKの活性は、サイクリン、阻害性因子、および集合因子などの特異的なサブユニットへCDKが結合することによって調節される。CDK活性の基質特異性およびタイミングは、特異的なサイクリンとのCDKの相互作用によって決まる。Cdk4/サイクリンDおよびCdk6/サイクリンDはG1期において活性があり、Cdk2/サイクリンEおよびCdk2/サイクリンAはS期において活性があり、Cdc2/サイクリンAおよびCdc2/サイクリンBはG2/M期において活性がある。]
[0018] サイクリン依存性キナーゼタイプ4(CDK4)は、細胞周期のG1期からS期移行を細胞が通過できるようにすることにおいて重要な役割を果たし、多くのヒト癌において構成的に活性化される。様々なヒト腫瘍において、CDK4活性化因子(サイクリンD1)は過剰発現され、CDK4インヒビター(p16)は欠損する。]
[0019] G1/S期において、またはG2/M境界でのいずれかで、正常細胞を可逆的にブロックするCdk1/Cdk2インヒビターが開発されている。一般にG2/M停止は、細胞の耐容性はそれほど良好ではなく、それゆえ細胞はアポトーシス性細胞死を起こす。Hsp90もまた細胞生存経路に影響することが知られており、この効果はさらにHsp90インヒビターにより増幅される可能性がある。]
[0020] Wee−1
Wee−1プロテインキナーゼは、チロシン15(Tyr15)にCDC2の阻害性リン酸化を行う。これはDNA損傷に応答してG2期チェックポイントの活性化のために必要とされる。]
[0021] 細胞の増殖および生存に関係するHsp90転写因子は下記を含む。]
[0022] 変異p53
P53は、細胞周期停止を引き起こし、アポトーシスを誘導する腫瘍サプレッサータンパク質である。P53は癌全体の約半分で変異している。変異p53はHsp90と会合し、Hsp90インヒビターにより処理された癌株においてダウンレギュレートされるが、野生型p53レベルは影響されなかった。]
[0023] エストロゲン受容体/アンドロゲン受容体
乳癌を発症する閉経後の女性のおよそ70%は、エストロゲン受容体を発現する腫瘍を有している。当該患者の一次治療は、この経路を介してシグナル伝達を妨害し、したがって腫瘍増殖を阻害することに向けられる。これは、卵巣除去、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニストによる治療、アロマターゼ阻害、またはエストロゲン受容体へ結合するがさらなるシグナル伝達を妨害する特異的アゴニストによる治療によって行うことができる。最終的には、細胞膜上に位置するエストロゲン受容体と増殖因子受容体との間のクロストークの結果として、患者は多くの場合これらの介入に対する耐性を発達させる。リガンドが結合されていない状態において、エストロゲン受容体は、ホルモン結合を促進するHsp90と共に複合体を形成する。成熟受容体Hsp90複合体への結合に続いて、リガンドが結合した受容体は、細胞増殖の維持に関与する標的遺伝子の制御領域内のホルモン応答エレメント(HRE)へ結合できる。Hsp90の阻害は、エストロゲン受容体のプロテオソームによる分解を開始させ、したがってこの経路を介するさらなる増殖シグナル伝達を妨害する。前立腺癌は、テストステロンの血中循環レベルを減少させるか、またはアンドロゲン受容体へのテストステロン結合を妨害する治療的介入に対して応答する、ホルモン依存性の悪性腫瘍である。患者は最初のうちは当該治療に対して応答するが、大部分はアンドロゲン受容体を介するシグナル伝達の回復によって耐性を発達させる。リガンド結合の前に、アンドロゲン受容体は、Hsp90、ならびにp23およびイムノフィリンを含む他のコシャペロンと共に複合体中に存在する。この相互作用は、高親和性のリガンド結合コンフォメーションでアンドロゲン受容体を維持する。Hsp90の阻害は、さらなるホルモン療法への腫瘍の感受性を高め得るアンドロゲン受容体および他のコシャペロンのプロテオソームによる分解につながる。]
[0024] 例えば抗ホルモン療法中に生じて、このような療法に対して耐性を持ち得る変異したステロイドホルモン受容体は、当該受容体の安定性およびホルモン結合機能についてHSP90に対してさらに高い依存性を有する可能性がある。]
[0025] Hif−1a
低酸素誘導因子−1a(HIF−1a)は、血管形成において役割を果たす遺伝子の発現を制御する転写因子である。HIF−1aは大多数の転移において発現され、Hsp90と会合することが知られている。腎癌細胞株のアンサマイシン処理は、HIF−1aのユビキチン化およびプロテアソームによる分解をもたらす。]
[0026] Hsp90インヒビターは、腫瘍細胞増殖におけるシグナル伝達に重要な多数の標的に影響することができる。単一標的の活性を調節するシグナル伝達インヒビターは、シグナル伝達経路の冗長性および耐性の急速な発達のために、同程度には効果的ではない可能性がある。]
[0027] 細胞シグナル伝達および細胞増殖に関与する複数の標的の調節によって、HSP90インヒビターは、広い範囲の増殖障害の治療において有用であることが証明される可能性がある。]
[0028] ZAP70
Syk−ZAP−70タンパク質チロシンキナーゼファミリーのメンバーであるZAP−70は、通常はT細胞およびナチュラルキラー細胞において発現され、T細胞シグナル伝達の開始において重大な役割を有する。しかしながら、ZAP−70はCLLの症例のおよそ50%においてもまた異常に発現され、通常はそれらの場合には変異していないB細胞受容体遺伝子を持っている。慢性リンパ球性白血病(CLL)の白血病細胞における免疫グロブリン重鎖可変領域(IgVH)遺伝子の変異状態は、重要な予後因子である。CLL細胞のZAP−70の発現は、IgVHの変異状態、疾患進行、および生存と相関する。ZAP−70陽性CLLはZAP−70陰性CLLよりも侵攻性であり、ZAP−70がこの疾患における悪性度の重要な原動力かもしれないことを示す。ZAP−70は、B−CLLリンパ芽球においてHSP90と物理的に会合し、したがってHsp90の阻害により既存の化学療法またはモノクローナル抗体療法に対するこれらの細胞の感受性を高め得る。]
[0029] 抗真菌剤、抗原生動物剤、および抗寄生虫剤としてのHSP90インヒビター
真菌感染は、免疫抑制療法の広範囲にわたる使用や、およびアゾールなどの承認された抗真菌剤に対する耐性を持つ種の発生率が増加しているため、近年大きな懸念材料となっている。免疫障害を持つ患者(例えば、臓器移植患者、化学療法を受ける癌患者、熱傷患者、AIDS患者、または糖尿病性ケトアシドーシスに罹患する患者などの患者)の集団の増加は、カンジダ属(Candida)、クリプトコッカス属(Cryptoccocus)、およびアスペルギルス属(Aspergillus)の種ならびに場合によってはフザリウム属(Fusarium)、トリコスポロン属(Trichosporon)、およびドレシュレラ属(Dreschlera)の種などの、真菌剤による日和見真菌症の発生率の増加を引き起こしている。]
[0030] それゆえ、真菌感染、および特に既存の抗真菌薬に対する耐性を持つようになった真菌に起因する感染に罹患する患者が増加してきたが、これらを治療するために使用できる、新しい抗真菌剤に対する必要性がある。]
[0031] HSP90は進化を通じて保存され、細菌(例えば大腸菌(E.coli)におけるHTPG)および酵母(例えばHSC82およびHSP82)において見出される。クライアントは大腸菌型については正式に同定されていないが、酵母およびすべての高等生物において、HSP90ファミリーは、上記のような多くの必須タンパク質に対するシャペロンとして機能することが示されている。]
[0032] 様々な病原体による感染は、HSP90に対する抗体応答と関連している。例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)感染患者において、HSP90の47kDaのC末端フラグメントは免疫優勢エピトープである。さらにこの抗体応答は予後良好と関連しており、感染に対する防護効果を示唆している。このポリペプチド中のエピトープに対する組換え抗体もまた、侵襲性カンジダ症のマウスモデルを感染から防御する(マシュース(Mathews)ら、「抗生物質および化学療法(Antimicrobial Agents and Chemotherapy)」2003年、47巻、2208〜2216、およびその中の参照文献を参照)。同様に、表面に発現するHSP90は、シャーガス病、回虫症、リーシュマニア症、トキソプラモシス(toxoplamosis)、およびマンソン住血吸虫に起因する感染における抗原としての機能を果たし、HSP90に対する抗体はプラモディウム(plamodium)感染およびマラリアからの防御を伝達することが提唱されている。]
[0033] マイコグラブ(Mycograb)(ニューテックファーマ/ノバルティス(NeuTec Pharma/Novartis))は、カンジダ属に対する治療として開発されており、る熱ショックタンパク質90に対するヒト組換えモノクローナル抗体であり、初期の治験において有意な応答を示した。さらに、天然産物のHSP90インヒビターであるゲルダナマイシン、ハービマイシン、およびラディシコールは、元来これらの抗真菌活性によって同定された。重要な必須タンパク質は、いくつかのヒト病原体においてHSP90クライアントとして同定された(カウエン(Cowen)およびリンドキスト(Lindquist)、「サイエンス(Science)」、2005年9月30日;309(5744):2175〜6参照)。したがってHSP90はカンジダ属の種などの病原体の増殖に重要役割を果たし得、HSP90インヒビターはカンジダ症を含む広範囲にわたる感染症に対する治療として有用となり得る。]
[0034] Hsp90が、抗真菌薬耐性を発達させる真菌の能力を増加させることもまた見出されている(カウエン(Cowen)LE、リンドキスト(Lindquist)S.、Hsp90は、新しい形質の急速な進化を促進する:多様な真菌における薬剤耐性(Hsp90 potentiates the rapid evolution of new traits: drug resistance in diverse fungi).「サイエンス(Science)」、2005年9月30日;309(5744):2185〜9参照)。したがって、抗真菌薬とHsp90インヒビターの共投与は、抗真菌薬の効能を促進し、耐性表現型の出現を予防することによって耐性を減少し得る。]
[0035] 疼痛、ニューロパシー症状および卒中の治療におけるHSP90インヒビター
Cdk5は、セリン/スレオニンキナーゼのCdkファミリーのメンバーであり、これらの大部分は細胞周期の重要なレギュレーターである。Cdk5活性は、そのニューロン特異的な活性化因子(p35およびp39)との会合を介して調節される。最近の知見によって、CDK5が、タウタンパク質、ならびにNUDE−1、シナプシン1、DARPP32、およびMunc18/シンタキシン1A複合体などの多数の他の神経タンパク質をリン酸化できることが示唆されている。この知見によって、アルツハイマー病(AD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、およびニーマン・ピック病タイプC(NPD)などの神経変性疾患の病因において、p35がp25へ変換されることによって誘導される異常なCdk5活性が役割を果たすこともまた示唆される。A1−42処理後のタウの異常な過剰リン酸化は微小管を不安定にし、神経突起の変性、および神経原線維濃縮体(NFT)を含む対らせんフィラメント(PHF)の形成(ADの主要な病変のうちの1つ)に寄与する。cdk5が適切な神経発生のために必要であることがさらに見出されている。]
[0036] CDK5活性のレギュレーターとして作用するp35タンパク質は、HSP90に対するクライアントタンパク質として最近同定され、したがってCDK5の活性は、HSP90のレベルおよび活性の変化によって調節することができる。したがってHSP90の阻害は、p35の減少、CDK5の阻害、感受性のある個体におけるリン酸化されたタウタンパク質の減少をもたらすことができ、アルツハイマー病の罹患者に対して利益をもたらす可能性がある。]
[0037] 加えて、公知の薬剤を使用するHSP90の阻害は、細胞系におけるタウタンパク質凝集体の蓄積をインビトロで減少させることが示されている(ディッキー(Dickey)ら、「カレント・アルツハイマー・リサーチ(Curr Alzheimer Res)」、2005年、4月;2(2):231〜8)。]
[0038] Cdk5は、疼痛シグナル伝達の仲介においてもまた役割を有することが示されている。Cdk5およびp35はいずれも、侵害受容ニューロンにおいて発現されることが示された。実質的に減少したCdk5活性を示すp35ノックアウトマウスでは、疼痛熱刺激に対する応答は遅れる(パリーク(Pareek, T.K.)ら、「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、103:791〜796(2006))。加えて、サイクリン依存性キナーゼ5(Cdk5)インヒビターであるロスコビチンの投与は、ラットにおけるホルマリン誘導性の侵害刺激反応を弱化することが示されている(ワン(Wang)、チェン−ハン(Cheng-haung)ら、「アクタ・ファルマコロジカ・シニカ(Acta Pharmacologica Sinica)」、26:46〜50(2005年))。カルパインの活性化はカルシウム依存性であり、NMDA受容体カルシウムチャンネルの活性化によって影響されることが知られている(アマドロ(Amadoro,G.);「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」、103、2892〜2897(2006年))。NMDA受容体アンタゴニストは、神経障害性疼痛症状に対して臨床的に効果的であることが知られている(クリストフ(Christoph,T.)ら、「ニューロファルマコロジー(Neuropharmacology)」、51、12〜17(2006年))。この効能は、カルパイン活性に対するNMDA受容体関連カルシウム流入の効果およびCdk5の活性に対するその後続効果に結び付けて考えることができる。それゆえ、Cdk5活性を修飾する化合物は疼痛の治療または予防に有用となることが期待され、したがってHSP90の阻害によるCDK5レギュレーターp35の修飾はCDK5の阻害を導き得る。]
[0039] 疼痛の待機的療法(すなわち疼痛の原因である基礎疾患または病状の改善の結果の疼痛の軽減に加えて、疼痛の直接的な軽減)のための薬剤を有することが望ましい。]
[0040] 様々なCdk(特にCdk4、Cdk5、およびCdk6)は、低酸素性傷害または虚血性傷害に続く神経死と関連するか、またはそれらを仲介することが示されている(ラシダン(Rashidan, J.)ら;「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、102:14080〜14085(2005年)。さらに、Cdkインヒビターのフラボピリドールは、局所性脳虚血のラットモデルにおける神経死を有意に減少させることが示されている(オオスガ(Osuga,H.)ら;「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of sciences)」、97:10254〜10259(2000年))。Cdk5インヒビターは、神経細胞死の壊死性例およびアポトーシス性例において防護効果を有することが示されている(ワイスハウプト(Weishaupt,J.)ら;「モレキュラー・アンド・セルラー・ニューロサイエンス(Molecular and Cellular Neuroscience)」、24:489〜502(2003年))。]
[0041] 卒中は、脳への通常の血流が破壊される場合に生じる脳血管性の事象であり、脳へ流れる血液が多すぎたりまたは少なすぎたりする。卒中は世界中で主な死因のうちの1つであり、神経系障害の最も一般的な原因のうちの1つでもある。]
[0042] 最も一般的なタイプの卒中である虚血性脳卒中は、動脈血の流入の閉塞によって引き起こされる、血液の脳循環が不十分になることに起因する。通常は、脳内の動脈のシステムによって適切な大脳血液の供給が確保される。しかしながら、炎症およびアテローム性動脈硬化症を含む様々な障害は、血栓(すなわち血管中に生ずる血餅)を引き起こす場合がある。血栓は動脈血流を妨げる可能性があり、脳虚血および結果として生ずる神経学的症状の原因となる。虚血性脳卒中は頭蓋内血管中の心臓からの塞栓(気泡)が留まることによってもまた引き起こされ、不適正な脳血流と伴って、潅流圧の低下または血液粘性の増加を引き起こす。塞栓は心房細動およびアテローム性動脈硬化症を含む様々な障害によって引き起こされ得る。]
[0043] 第2のタイプの卒中(出血性卒中)は、脳に通じる動脈の出血または破壊を伴う。出血性卒中は、脳の硬膜上腔、硬膜下腔、またはクモ膜下腔を含む脳組織中への出血をもたらす。出血性卒中は、典型的には動脈性高血圧症または血栓症にさらされた動脈硬化性血管の破壊に起因する。]
[0044] 卒中における介入の1つの機会は、卒中のリスクがある患者における卒中のリスクの予防または低減である。血管炎症、アテローム性動脈硬化症、動脈性高血圧症、糖尿病、高脂血症、および心房細動を含む、卒中についての多くの公知のリスクファクターがある。リスクのある患者は血圧を制御または血中脂質レベルを管理するために薬剤により治療され、抗血小板剤(クロピドロゲル(clopidrogel)などの)および抗凝血剤により治療されている。第2の機会としては急性卒中の治療である。しかしながら、急性卒中の治療のための現在の薬理療法は、卒中後3時間以下の狭い治療時間ウィンドウ内での血流の回復に限定されている。より長い治療時間ウィンドウ内で効果的である薬剤の必要性が依然としてある。他の機会は、急性卒中期間後の回復または修復(すなわち周辺部における二次的な細胞損傷の減少または予防)である。卒中後の二次的な細胞損傷の減少または予防に効果的な薬剤の必要性がある。]
[0045] 卒中を治療する上述の機会のうちの1つ以上において使用することができる単一の医薬用薬剤を得ることが望ましい。そのような薬剤は、卒中のリスクがある患者に投与でき、急性卒中に罹患する患者、または急性卒中期間後の回復または修復のための治療を受けている患者に投与され得る。そのような薬剤はまた、卒中の生化学的カスケードにおける1つ以上の個別のメカニズムも標的とし得る。]
[0046] HSP90インヒビター、ならびにC型肝炎および他のウイルス疾患の治療
ウイルスRNA/DNAによる宿主細胞の感染により、細胞タンパク質の合成は、ウイルス性核酸によってコードされる鍵となるウイルスタンパク質に向けて実質的に再び方向付けられる。タンパク質合成負荷の増加は、エネルギーおよび合成の前駆体の需要増加の結果として細胞にストレスを与える。熱ショックタンパク質のアップレギュレーションは、しばしば、少なくとも部分的にはこのストレスに起因するウイルス感染の結果である。HSP誘導の1つの機能は、ウイルス複製に備えて生成される高レベルの「外来」タンパク質の安定化および折りたたみを支援することであり得る。特に、最近の研究ではC型肝炎(HCV)レプリコン感染細胞における機能的なNS2/3プロテアーゼの安定した産生のために、HSP90が必要とされることが示唆されている。]
[0047] HSP90インヒビターは、インビトロのシステムにおけるウイルス複製をブロックすることもまた実証されている(ナカガワ(Nagkagawa, S.)、ウメハラ(Umehara T.)、マツダ(Matsuda C.)ら、「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem. Biophys. Res. Commun.)」353(2007年)882〜888;ワックスマン(Waxman, L.)、ウイットニー(Witney, M.)ら、「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」98(2001年)13931〜13935)。]
[0048] 熱ショックタンパク質および抗腫瘍薬耐性
任意のポリペプチドの天然の三次コンフォメーションは、その一次(アミノ酸)配列によって決定されることが長い間認識されている。しかしながら上で説明したように、生体内での多くのタンパク質の適切な折りたたみは、分子シャペロンとして作用する熱ショックタンパク質(Hsp)の支援を必要とすることが現在明らかである。このシャペロン機能はすべての条件下で通常の細胞機能にとって重要であるが、これはストレスを受けた(例えば熱、低酸素、またはアシドーシスによって)細胞において決定的なものになる。]
[0049] そのような条件は、典型的には、不利な宿主環境中に存在する腫瘍細胞において支配的である。したがって、そのような細胞においてしばしば見られるHspのアップレギュレーションは、タンパク質の折りたたみを損なう条件下で、悪性細胞がプロテオームの全体性を維持するメカニズムを示している可能性がある。したがって、一般にストレスタンパク質(および特にHsp90)のモジュレーターまたはインヒビターは、複数の異常なシグナル伝達経路を同時に阻害するユニークな能力の化学療法薬のクラスを表す。したがってそれらは、他の治療パラダイムと比較して、耐性を消失させる(または耐性の発生率を減少させる)が、抗腫瘍の効果を発揮することができる。]
[0050] さらに、すべてのタイプの治療的抗癌性介入は、標的腫瘍細胞に課されたストレスを必然的に増加させる。そのようなストレスの有害作用を緩和する際に、Hspは制癌剤および治療レジメンの効果に抵抗する際に直接関与する。したがって、一般にストレスタンパク質機能(および特にHsp90)のモジュレーターまたはインヒビターは、以下の能力を有する化学療法薬のクラスを表す。(i)抗癌薬剤および/または治療に対して悪性細胞を感作させる;(ii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発生率を緩和または低減する;(iii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性を撤回させる;(iv)抗癌薬剤および/または治療の活性を増強する;(v)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発現を遅延または防止する。]
[0051] プロドラッグ
プロドラッグは、それ自体は薬理活性をほとんどまたはまったく有しないが、生体内変化を経て治療上活性のある代謝産物となる化合物であると一般に認識されている(例えば、バーナードテスタ(Bernard Testa),生化学的薬理学,68(2004年),2097〜2106、「プロドラッグの設計」(ブンガード(Bundgaard H.)編集)1985年エルゼビア・サイエンス・パブリッシャーズ社(Elsevier Science Publishers B.V.)(生物医学部門)、およびラウティオ(Rautio)ら、「ネイチャーリビューズ(Nature Reviews)(ドラッグディスカバリー)」、第7巻、2008年3月、255〜270を参照のこと)。]
[0052] プロドラッグは、様々な理由で用いられる。例えば、特に、下記の目的で用いられる可能性がある:
・本来不溶であるか溶解性の乏しい薬剤に対してより優れた溶解性を付与するため
・化学的安定性を向上させるため
・薬剤の官能特性を向上させるため
・薬剤の薬物動態を変化させるため
・全身循環前(初回通過)の代謝を低減するため
・薬剤の共役の度合いを低減させるため
・経口吸収を向上させるため
・薬剤の選択的な標的化を実現するため
・細胞毒性剤のin situにおける活性化を実現するため]
[0053] 世界中で承認されている5〜7%もの薬剤がプロドラッグとして分類することができる(ラウティオ(2008年)を参照のこと)が、フェノール性水酸基を含む薬剤のプロドラッグの開発は、いくぶん困難であることが示されている。]
[0054] 水酸基の様々な誘導体が提案および/または研究されている(ラウティオ(2008年)が、結果は一様ではない。]
[0055] テルブタリンのプロドラッグ(バンブテロール)の場合、テルブタリンの2個のフェノール性水酸基が誘導体化され、ジメチルカルバモイルオキシ基を与え、これが生体内でゆっくりと再び水酸基にまで変換されてテルブタリンを再生成する。]
[0056] しかしながら、この文献のほかの部分では、ヒドロキシル化合物の多くの単純なジアルキルカルバミン酸塩誘導体は、プロドラッグとして機能するにはあまりにも安定しておりかつあまりにも加水分解に抵抗性があることが分かっている(イガラシ(Igarashi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューティカルブレティン(Chem. Pharm. Bull.)55(2)、328〜333(2007年)、特に329ページ第2欄を参照のこと)。]
[0057] 単純なジアルキルカルバミン酸(dialkylcarbamate)プロドラッグも有毒な副作用に関連付けられている(ソーンバーグ(Thorberg)ら、「ジャーナル・オブ・メディシナルケミストリー(J. Med. Chem.)」、1987年、30、第11、2008〜2012、特にページ2010、第2欄を参照のこと)。ソーンバーグらは、アリールカルバミン酸誘導体は同様の毒性作用を生じないことを見出した。]
[0058] フェノール性水酸基化合物のモノアルキルカルバミン酸誘導体も可能性のあるプロドラッグとして研究されている。イガラシら(同上)は、フェノール性カピラリシンアナログのモノエチルカルバモイル誘導体は、親フェノール性化合物の良好な血漿中濃度をもたらすが、他の一置換カルバミン酸は適切なプロドラッグとなるためには容易に加水分解されすぎるか代謝されすぎるということを見出した。さらに、ジアルキルカルバミン酸と同様に、モノアルキルカルバミン酸も有毒な副作用と関連付けられている(ソーンバーグら、同上の2010ページ、第2欄)。]
[0059] フェノール性ドーパミン自己受容体アゴニスト(−)−3−(ヒドロキシフェニル)−N−プロピル−ピペリジンのエステルおよびエーテル誘導体も、可能性のあるプロドラッグとしてソーンバーグらにより研究されたが、ソーンバーグらは、エーテルおよびアシルエステル誘導体は、恐らく安定性の欠如および消化管にいる間に加水分解する傾向があるために血漿中で親化合物を生成しないこと見出した(2010ページ、第1欄を参照のこと)。]
[0060] したがって、上述のように、フェノール性化合物のプロドラッグの開発は全く容易ではなく、あるクラスの化合物において有用なプロドラッグ特性を呈する官能基誘導体は、他のクラスの化合物においては効果がないかあるいは毒性の問題まで生ずる可能性がある。]
[0061] WO99/29705(グライコメッド(Glycomed)ら)には、癌の治療を含む多くの可能性のある用途を有するグリコミメティック化合物のクラスが開示されている。WO99/29705に具体的に開示されている1つの化合物は、2−(2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−3−カルボン酸化合物である。]
[0062] WO2006/117669(ファイザー(Pfizer))には、Hsp90阻害剤としてのアミドレゾルシノールのクラスが開示されている。]
[0063] 国際出願WO2006/109085(アステックス・セラピューティクス(Astex Therapeutics))には、Hsp90阻害剤としてのヒドロキシ安息香酸アミドが開示されている。]
[0064] WO2008/044027(アステックス・セラピューティクス)には、WO2006/109085の化合物のプロドラッグが開示されている。]
[0065] 本発明は、Hsp90阻害または調節活性を有する化合物が得られる、生体内で修飾または除去される官能基を含むプロドラッグ化合物の新規なグループを提供する。当該プロドラッグ化合物は、Hsp90に仲介される病態もしくは症状の予防または治療に有用であると期待される。]
[0066] したがって、例えば、本発明の化合物は、癌の罹患率の緩和または減少において有用であると予想される。]
[0067] したがって、第1の態様(態様I)では、本発明は、式(1)の化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体を提供し:



式中、R1はR1aであり、R2はR2aであるか;またはR1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;
R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく;
R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、当該ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;かつ
R3は、基A〜Gから選ばれ、



式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表すが;しかし、
化合物であるジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;および
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステルは除く。]
[0068] 式(1)において、R1はR1aであり、R2はR2aであるか;またはR1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外である。]
[0069] 1つの一般的な実施形態(実施形態AA)では、R1はR1aであり、R2はR2aである。]
[0070] 実施形態AAの内で、化合物の1つのグループ(グループAAA)では、R1aおよびR2aは同一または異なっていてもよく、それぞれ水素、C1−2アルキル(例えば、メチル)、C2−3アルケニル(例えば、アリル)、およびC2−3アルキニル(例えば、プロパルギル)から選ぶことができ、ここでC1−2アルキルはメトキシによって置換されていてもよい。]
[0071] 例えば、グループAAAの内の化合物のグループAAAAでは、R1aおよびR2aは、それぞれ水素、メチル、メトキシメチル、およびアリルから選ぶことができる。]
[0072] グループAAAAの内の化合物の1つの特定のサブグループ(AAAAA)では、R1aおよびR2aは、それぞれ水素およびメチルから選ばれる。]
[0073] グループAAAAの内の化合物の他の特定のサブグループ(AAAAB)では、R1aおよびR2aは、それぞれ水素およびメトキシメチルから選ばれる。]
[0074] グループAAAAの内の化合物のさらなる特定のサブグループ(AAAAC)では、R1aおよびR2aは、それぞれ水素およびアリルから選ばれる。]
[0075] 他の一般的な実施形態(実施形態AB)では、R1はR1bであり、R2はR2bである。]
[0076] 実施形態ABの内で、化合物の1つのサブグループ(グループABA)では、R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキル、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルである。]
[0077] グループABAの内で、化合物の1つのサブグループ(グループABAA)では、R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)NR4R5から選ばれる。グループABAAの内で、より具体的には、R4およびR5は、いずれもC1−3アルキルであり得る。例えば、R4およびR5は、いずれもメチルおよびエチルから選ぶことができる。1つの実施形態では、R1aは水素であり、R1bはC(O)NR4R5である。他の実施形態では、R1bは水素であり、R1aはC(O)NR4R5である。]
[0078] グループABAの内で、化合物の他のサブグループ(グループABAB)では、R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)R6から選ばれる。グループABABの内では、R6は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、またはtert−ブチルであり得る。1つの好ましい実施形態(グループABABA)では、R6は、C2−4アルキル(より好ましくは、C3−4アルキル、例えば、tert−ブチルまたはイソプロピルなど)である。]
[0079] グループABAの内で、化合物の他のサブグループ(グループABAC)では、R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)OR6から選ばれる。グループABACの内では、R6は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、またはtert−ブチルであり得る。1つの好ましい実施形態(グループABACA)では、R6は、C2−4アルキル(より好ましくは、C3−4アルキル、例えば、tert−ブチルまたはイソプロピルなど)である。]
[0080] 化合物の他のサブグループ(グループABAD)では、R1bおよびR2bの一方はC(O)NR4R5であり、ここでR4およびR5はいずれもC1−4アルキルであり、R1bおよびR2bの他方はC(O)R6およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はグループABAB、ABABA、ABAC、およびABACAのいずれか1つにおいて規定した通りである。]
[0081] 実施形態ABの内で、化合物の他のサブグループ(グループABB)では、R1bおよびR2bは、同一または異なって、それぞれ水素または基C(O)NR4R5であり、ここでNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によって、O、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含んでおり、当該ヘテロ環は、1もしくは2個のC1−4アルキル基(例えば、メチル基)および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよい。]
[0082] 例えば、グループABBの内で、化合物の1つのサブセット(グループABBA)では、飽和ヘテロ環は、アゼチジン、ピロリジン、ピロリドン、ピペリジン、ピペリドン、アゼピン、ピペラジン、4−メチルピペラジン、モルホリン、およびチオモルホリンから選ばれる。]
[0083] 実施形態ABBの内で、化合物の他のサブセット(グループABBB)では、NR4R5は5員または6員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によって、O、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含んでおり、当該ヘテロ環は、1もしくは2個のC1−4アルキル基(例えば、メチル基)および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよい。グループABBBの内で、飽和ヘテロ環の好ましいサブセット(グループABBBA)は、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、4−メチルピペラジン、およびモルホリンからなる。グループABBBAの内で、1つの好ましい実施形態では、飽和ヘテロ環はピロリジンである。グループABBBAの内で、他の好ましい実施形態では、飽和ヘテロ環はモルホリンである。]
[0084] 上に規定する態様I、一般的な実施形態AAおよびAB、ならびにこれらのサブグループおよびサブセットにおいて、R1およびR2の少なくとも一方は水素以外でなければならない。]
[0085] 上に規定する態様I、一般的な実施形態AAおよびAB、ならびにこれらのサブグループおよびサブセットのそれぞれの内の化合物の1つのサブグループでは、R1およびR2の一方は水素以外であり、他方は水素である。1つの一般的な実施形態では、R2は水素以外である。]
[0086] 上に規定する態様I、一般的な実施形態AAおよびAB、ならびにこれらのサブグループおよびサブセットのそれぞれの内の化合物の他のサブグループでは、R1およびR2はいずれも水素以外である。]
[0087] 上に規定する態様I、一般的な実施形態AAおよびAB、ならびにこれらのサブグループおよびサブセットでは、R3はグループA〜Gのいずれかであり得る。上に規定する態様I、一般的な実施形態AAおよびAB、ならびにこれらのサブグループおよびサブセットのそれぞれの内の化合物の1つの好ましいサブグループでは、R3はグループDである。]
[0088] 本発明の第2の態様(態様II)によれば、式(2)の化合物、またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体が提供される。



式中、R1はR1aであり、R2はR2aであるか;またはR1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;
R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく;
R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、当該ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;かつ
(i)R1もR2も基C(O)NR4R5でない場合(ここでNR4R5は、上に規定する置換されていてもよい4〜7員の飽和ヘテロ環を形成する)、nは1であり、そしてR3は、イソインドリン基の4位または5位のいずれかに結合しており、グループA〜Gから選ばれ:



式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表すか;あるいは
(ii)R1およびR2の少なくとも一方がC(O)NR4R5である場合(ここでNR4R5は、上に規定する置換されていてもよい4〜7員の飽和ヘテロ環を形成する)、nは0、1、または2であり、R3は:
ハロゲン;
CO2R14(ここでR14は、水素またはC1−6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3aから選ばれ、



式中、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12、またはR12であり;R12は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、またはCH2R15であり;そしてR15は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13、またはC(O)OR13から選ばれ;そしてR13は、C1−6アルキルであるが;しかし
化合物である、
ジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;および
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステルは除く。]
[0089] 本発明の第3の態様(態様III)によれば、式(3)の化合物、またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体が提供される。



式中、R1はR1aであり、R2はR2aであるか;またはR1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;
R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく;
R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、基C(O)NR4R5、基C(O)R6、または基C(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、当該ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;
nは、0、1または2であり;かつ
R3は:
ハロゲン;
CO2R14(ここでR14は、水素またはC1−6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3aから選ばれ、



式中、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12、またはR12であり;R12は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、またはCH2R15であり;そしてR15は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13、またはC(O)OR13から選ばれ;そしてR13は、C1−6アルキルであるが;しかし
化合物である、
ジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;および
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−メタノン;
[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノン;および
[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノンは除く。]
[0090] 本発明の第4の態様(態様IV)によれば、式(4)の化合物、またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体が提供される。



式中、R1はR1aおよびR1bから選ばれ、R2はR2aおよびR2bから選ばれるが;但しR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;
R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく;
R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、基C(O)NR4R5、基C(O)R6、または基C(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、当該ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;
nは、0、1または2であり;かつ
R3は:
ハロゲン;
CO2R14(ここでR14は、水素またはC1−6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3aから選ばれ、



式中、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12、またはR12であり;R12は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、またはCH2R15であり;そしてR15は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13、またはC(O)OR13から選ばれ;そしてR13は、C1−6アルキルであるが;しかし
化合物である、
ジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;および
酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
(1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル)−(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−メタノン;
[5−(1−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノン;および
[5−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−メタノンは除く。]
[0091] 本発明の第5の態様(態様V)によれば、式(5)の化合物、またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体が提供される。



式中、nは、0、1、または2であり;
R1およびR2の一方は、基R1cであり;かつR1およびR2の他方は、R1aおよびR1bから選ばれ;
R1aは、水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルは、C1−2アルコキシによって置換されていてもよく;
R1bは、水素、基C(O)NR4R5、基C(O)R6、または基C(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、当該ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;
R1cは、基C(O)NR4cR5cであり、ここでNR4cR5cは4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によって、O、NもしくはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含んでおり、当該ヘテロ環は、1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;
R3は:
ハロゲン;
CO2R14(ここでR14は、水素またはC1−6アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−4アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3aから選ばれ、



式中、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12、またはR12であり;R12は、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、アリール−C1−6アルキル、またはCH2R15であり;そしてR15は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、ヒドロキシ−C1−6アルキル、ピペリジン、N−C1−6アルキルピペラジン、ピペラジン、モルホリン、COR13、またはC(O)OR13から選ばれ;そしてR13は、C1−6アルキルである。]
[0092] 本明細書のさらなる態様(本明細書で規定する態様(VI)、(VII)、および(VIII))では、本明細書に添付の請求項で規定の式(1a)、(1b)、および(1c)の化合物が提供される。]
[0093] 上に規定する態様(II)、態様(III)、態様(IV)、および態様(V)のそれぞれにおいて、nは好ましくは1または2である。態様(II)、態様(III)、態様(IV)、および態様(V)のそれぞれの内の1つの一般的な実施形態(実施形態BA)では、nは1である。]
[0094] 態様(II)、(III)、(IV)、および(V)ならびに実施形態BAのそれぞれの内の化合物の1つのサブグループ(グループBAA)では、R3は:
ハロゲン;
CO2R14(ここでR14は、水素またはC1−2アルキルである);
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−2アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−2アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3bから選ばれ、



式中、X4はNHまたはOであり、mは0または1であり、nは1、2、または3であり、R11は水素、COR12、C(O)OR12、またはR12であり;R12は、C1−4アルキル、C3−6シクロアルキルであり;R15は、水素、C1−4アルキル、COR13、またはC(O)OR13であり;かつR13はC1−4アルキルである。]
[0095] 態様(II)、(III)、(IV)、および(V)ならびに実施形態BAAのそれぞれの内の化合物の他のサブグループ(グループBAB)では、R3は:
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−2アルキル;
ヒドロキシまたはC1−2アルコキシによって置換されていてもよいC1−2アルコキシ;あるいは
基[sol]、CH2[sol]、C(O)[sol]、OCH2CH2[sol]、またはOCH2CH2CH2[sol](ここで[sol]は下記基から選ばれる)からなる基R3cから選ばれる。]
[0096] 態様(II)、(III)、(IV)、および(V)ならびに実施形態BAAのそれぞれの内で、好ましい化合物はR3が基A〜Gから選ばれる化合物である。]
[0097] 態様(II)、(III)、(IV)、および(V)ならびに実施形態BAAのそれぞれの内の特に好ましい化合物(以下グループBACと呼ぶ)は、R3が基Dであるものである。]
[0098] 態様(II)、(III)、および(IV)、実施形態BA、ならびにグループBAA、BAB、およびBACのそれぞれにおいて、R1およびR2は、上に規定した実施形態AAおよびAB、ならびにグループAAA、AAAA、AAAAA、AAAAB、AAAAC、ABA、ABAA、ABAB、ABABA、ABAC、ABACA、ABB、ABBA、ABBB、ABBBA、およびABAD、ならびに当該グループのそれぞれの内の好ましいもののいずれか一つに規定したものであり得る。]
[0099] 態様(V)ならびに実施形態BAならびにそのグループBAA、BAB、およびBACにおいて、R1aおよびR1bは、上に規定した実施形態AAおよびAB、ならびにグループAAA、AAAA、AAAAA、AAAAB、AAAAC、ABA、ABAA、ABAB、ABABA、ABAC、ABACA、ABB、ABBA、ABBB、ABBBA、およびABAD、ならびに当該グループのそれぞれの内の好ましいもののいずれか一つで規定したものであり得、そして部分R1cの飽和ヘテロ環は、グループABBA、ABBB、およびABBBA、ならびに当該グループのそれぞれの内の好ましいもののいずれか一つで規定したものであり得る。]
[0100] 本発明の具体的な化合物は次のとおりである。]
[0101] (4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2−アリルオキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(4−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
(2,4−ビス−アリルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
[2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
[5−イソプロピル−2,4−ビス−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;
ジエチル−カルバミン酸5−ジエチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2−[2,4−ビス−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
2−[2,4−ビス−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
ジエチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ジエチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
2−[2−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
2−[4−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
2−[2−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
2−[4−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;
炭酸tert−ブチルエステル5−ジメチルカルバモイルオキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
炭酸5−tert−ブトキシカルボニルオキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステルtert−ブチルエステル;
2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
イソ酪酸5−イソブチリルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ならびにこれらの塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド。]
[0102] 本発明の好ましい化合物の1つのグループは下記のものからなる。]
[0103] ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;および
ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ならびにこれらの塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド。]
[0104] 本発明の好ましい化合物の上記グループの内で、1つの特定の化合物は、
ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;
ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシドである。]
[0105] 本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物ならびにそのサブグループは、我々の以前の出願であるPCT/GB2006/001382で開示した化合物のプロドラッグである。したがって、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、および(5)の化合物は生体内で変換されて、R1およびR2がいずれもOHである化合物を与えると予想される。]
[0106] さらなる態様では、本発明は下記のものを提供する:
・Hsp90Aにより仲介される病態もしくは症状の予防または治療で用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療用薬剤の製造のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を投与することを含む方法。
・Hsp90により仲介される病態もしくは症状の罹患率の緩和または低減に用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾患または症状の治療に用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾患または症状の治療用薬剤の製造のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患あるいは症状の治療方法であって、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で当該哺乳類に投与することを含む方法。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾患または症状の罹患率の緩和または減少に用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、もしくはそれから生じる疾患または症状の罹患率の緩和または減少用薬剤の製造のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患あるいは症状の罹患率の緩和または減少方法であって、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を、異常な細胞増殖を阻害するのに有効な量で当該哺乳類に投与することを含む方法。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患あるいは症状の治療方法であって、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を、Hsp90の活性を阻害するのに有効な量で当該哺乳類に投与することを含む方法。
・哺乳類における異常な細胞増殖からなる、またはそれから生じる疾患あるいは症状の罹患率の緩和または減少方法であって、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を、Hsp90の活性を阻害するのに有効な量で当該哺乳類に投与することを含む方法。
・Hsp90の阻害剤として用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・Hsp90の阻害方法であって、当該Hsp90と、本明細書で規定するHsp90阻害性の式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例とを接触させることを含む方法。
・Hsp90の活性を阻害することによる細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾に用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を用いてHsp90の活性を阻害することによる細胞過程(例えば、細胞分裂)の修飾方法。
・本明細書に記載の病態の予防または治療で用いるための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・本明細書で規定するいずれか1つ以上の用途のための薬剤の製造のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例と、薬学的に許容される担体とを含む、経口投与に適した形態の医薬組成物。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例と、薬学的に許容される担体とを含む、例えば静脈内(i.v.)投与による、非経口投与に適した形態の医薬組成物。
・本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例と、薬学的に許容される担体とを含む、注射または点滴による静脈内(i.v.)投与に適した形態の医薬組成物。
・薬に使用するための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・上記および本明細書の他の箇所に記載の使用および方法のいずれかのための、本明細書で規定する化合物。
・スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾患もしくは症状に罹患している、もしくは罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防における使用のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例。
・スクリーニングされ、Hsp90に対して活性を有する化合物による治療に感受性のある疾患もしくは症状に罹患している、もしくは罹患する危険性があると判定された患者における病態または症状の治療あるいは予防用薬剤の製造のための、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例の使用。
・(i)患者が罹患している、もしくは罹患している可能性のある疾患または症状がHsp90対して活性を有する化合物による治療に感受性があるものかどうかを判定すべく患者をスクリーニングすること、および(ii)患者の疾患または症状がそのような感受性を有することが示された場合に、その後、本明細書で規定する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物あるいはその任意の実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、または例を当該患者に投与することを含む、Hsp90により仲介される病態または症状の診断あるいは治療方法。]
発明の具体的説明

[0107] 本明細書の化合物は、我々の以前の国際出願であるPCT/GB2006/001382で開示したヒドロキシ安息香酸アミドHsp90阻害剤のプロドラッグである。便宜上、PCT/GB2006/001382の化合物を、本明細書では「親化合物」または「フェノール化合物」として種々言及することがある。「親化合物」または「フェノール化合物」に「由来」するプロドラッグに対する言及は、単に構造的な関係を意味することを意図し、プロドラッグを調製する特定の方法を意味することは意図していない。したがって、プロドラッグは、下に記載するようにPCT/GB2006/001382の化合物から調製されてもよいし、PCT/GB2006/001382のフェノール化合物の仲介(intermediacy)を伴わない方法によって調製されてもよい。]
[0108] この節では、本願の他の全ての節と同様、文脈上他の意味に解す場合を除き、式(1)の化合物に対する言及は、本明細書で規定するその全ての実施形態(Embodiments)、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、実施形態(embodiments)、例、および特定の化合物を包含する。]
[0109] 同様に、式(2)の化合物に対する言及は、本明細書で規定するその全ての実施形態(Embodiments)、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、実施形態(embodiments)、例、および特定の化合物を包含し、式(3)または式(4)または式(5)の化合物に対する言及は、本明細書で規定するその全ての実施形態(Embodiments)、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、実施形態(embodiments)、例、および特定の化合物を包含する。]
[0110] さらに、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物およびその実施形態、サブグループに対する言及は、下に記載するように、それらのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、および同位体を包含する。]
[0111] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物およびその実施形態、サブグループは、本明細書で規定するそれらのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、および同位体を包含し、便宜上、「本発明の化合物(compounds)」または単数形で「本発明の化合物(compound)」と呼ばれる。]
[0112] 本明細書では、「治療」なる語ならびに関連する語である「治療する」および「治療すること」は、痛みの予防的または防止的治療のいずれも、そして治癒的または緩和的治療を意味する。したがって当該用語は、被験者または患者が既に痛みを経験している状況、ならびに現時点では痛みを経験していないが、痛みが出現すると予想される状況を含む。「治療」、「治療する」、「治療すること」、および関連する語は、完全におよび部分的にの両方で痛みを低減または予防させることを包含する。したがって、例えば、本発明の化合物は、既存の痛みが悪化することを防ぐ可能性があるか、あるいは痛みを軽減またはさらには除去する可能性がある。予防的な意味で使われた場合、当該化合物はいかなる痛みが生じることも防ぐ可能性があるか、あるいは生じうる痛みの程度を低減させる可能性がある。]
[0113] 本明細書では、「修飾」なる語は、熱ショックタンパク質Hsp90の活性に対して使用された場合、熱ショックタンパク質の生物学的活性のレベルの変化を明確にすることを意図している。したがって、修飾には、関連する熱ショックタンパク質の活性の増加または減少をもたらす生理学的変化が包含される。後者の場合では、修飾は「阻害」として記載される場合がある。修飾は、直接的または間接的に生じてもよく、任意のメカニズムにより、ならびに例えば遺伝子発現のレベル(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾を含む)、熱ショックタンパク質の活性のレベルに直接的または間接的に作用する修飾エレメントをコードする遺伝子発現のレベル、任意の生理的なレベルで仲介されてもよい。したがって、修飾は、遺伝子増幅(すなわち複数の遺伝子コピー)を含む熱ショックタンパク質の増加した発現/抑制された発現または過剰発現もしくは低発現および/または転写効果による増加した発現または減少した発現に加えて、変異による((脱)活性化を含む)熱ショックタンパク質の過剰活性(または低活性)および(脱)活性化を意味してもよい。「修飾された」、「修飾している」および「修飾する」なる語は適宜解釈されるべきである。]
[0114] 本明細書では、例えば、本明細書に記載する(そして、例えば、様々な生理的な過程、疾患、状態、症状、処置、治療、あるいは介入に対して使用される)ような、熱ショックタンパク質と共に使用される、「仲介される」なる語は、この用語が適用される様々な過程、疾患、状態、症状、治療、および介入は熱ショックタンパク質Hsp90が生物学的役割を果たすものであるように、制限的に働くことを意図するものである。この用語が、疾患、状態または症状に対して使用される場合において、熱ショックタンパク質Hsp90により果たされる生物学的役割は、直接的または間接的であってもよく、疾患、状態、または症状の病徴の発現(またはその病因または進行)のために、必要および/または十分であってもよい。したがって、熱ショックタンパク質Hsp90の活性(特に異常なレベルの熱ショックタンパク質Hsp90の活性(例えば、Hsp90過剰発現))は、必ずしも疾患、状態、または症状の近因である必要がなく、むしろ熱ショックタンパク質Hsp90に仲介される疾患、状態または症状は、Hsp90が部分的にのみ関わる、多元的な病因および複雑な進行を有するものを含んでいると理解される。当該用語が、治療、予防、または介入に対して使用される場合において(例えば、本発明の「Hsp90に仲介される治療」および「Hsp90に仲介される予防」において)、Hsp90により果たされる役割は直接的または間接的であってもよく、または、治療、予防、または介入の転帰の操作のために必要および/または十分であってもよい。したがって、Hsp90が仲介する病態または症状は、ある特定の抗癌剤あるいは治療に対する耐性(特に本明細書に記載する1種またはそれ以上のシグナル伝達阻害剤に対する耐性を含む)の発生を含む。]
[0115] 「介入」なる語は、任意のレベルで生理学的変化をもたらす任意の作用を規定するために本明細書において使用される専門用語である。したがって介入は、任意の生理的なプロセス、事象、生化学的経路または細胞の事象/生化学的事象の誘導または抑制を含んでもよい。本発明の介入は、典型的には、疾病または症状の療法、治療または予防を行う(またはそれらに寄与する)。]
[0116] 本明細書では、「組み合わせ」なる語は、2種以上の化合物および/または薬剤(本明細書においては成分とも呼ばれる)に対して使用されて、当該2種以上の化合物/薬剤が結合(associated)している物質を意味することを意図している。この文脈における「組み合わせた」および「組み合わせる」なる語は適宜解釈されるべきである。]
[0117] 組み合わせ中の2種以上の化合物/薬剤の結合は、物理的または非物理的であってもよい。物理的に結合した組み合わせ化合物/薬剤の例としては以下のものが挙げられる。
・混合剤(例えば、同一の単位用量内に)中に2種以上の化合物/薬剤を含む組成物(例えば、一体型の製剤);
・2種以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に結合している(例えば、架橋、分子的な凝集または共通の賦形剤部分への結合により)物質を含む組成物;
・2種以上の化合物/薬剤が化学的に/物理化学的に共にパッケージされている(例えば、脂質小胞、粒子(例えば、ミクロ粒子またはナノ粒子)またはエマルジョン滴上に、またはそれらの内部に配置された)物質を含む組成物;
・2種以上の化合物/薬剤が共にパッケージされているか、または共に提供されている(例えば、一連の単位用量の一部として)薬学的キット、薬学的パックまたは患者パック。]
[0118] 非物理的に結合した組み合わせ化合物/薬剤の例としては以下のものが挙げられる。
・2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、当該2種以上の化合物/薬剤の物理的結合を形成するための、当該少なくとも一方の化合物の即時結合のための説明書とを含む物質(例えば、非一体型の製剤);
・2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、当該2種以上の化合物/薬剤による併用療法のための説明書とを含む物質(例えば、非一体型の製剤);
・2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方と、当該2種以上の化合物/薬剤の他方が投与された(または投与されている)患者集団への投与のための説明書とを含む物質;
・2種以上の化合物/薬剤のうちの少なくとも一方を、前記2種以上の化合物/薬剤の他方と組み合わせて使用するために特に適した量または形態で含む物質。]
[0119] 本明細書では「組み合わせて」なる語は、同一の治療レジメン全体の一部として投与される化合物/薬剤を指す場合がある。それゆえ、2種以上の化合物/薬剤の各々の薬量は異なってもよく、各々は同時にまたは異なる時間で投与されてもよい。したがって、当然のことであるが、組み合わせの化合物/薬剤は順次に(例えば、前後して)または同時に投与されてもよい(同一の医薬製剤(すなわち一緒に)または異なる医薬製剤(すなわち個別に)のどちらかにおいて)。同一の製剤での同時投与は一体型の製剤であるが、異なる医薬製剤での同時投与は非一体型である。併用療法の2種以上の化合物/薬剤の各々の薬量はまた、投与経路に関連して異なってもよい。]
[0120] 本明細書では「薬学的キット」なる語は、場合によってはすべて共通の外装内に含まれる、投薬手段(例えば、計測装置)および/または送達手段(例えば、吸入器またはシリンジ)と共にある、医薬組成物の1つ以上の単位用量の一群を意味する。2種以上の化合物/薬剤の組み合わせを含む薬学的キットにおいて、個々の化合物/薬剤は一体型の製剤または非一体型の製剤のいずれであってもよい。単位用量はブリスターパック内に含まれていてもよい。薬学的キットは任意に使用説明書をさらに含んでもよい。]
[0121] 本明細書では「薬学的パック」なる語は、場合によっては共通の外装内に含まれる、医薬組成物の1つ以上の単位用量の一群を意味する。2種以上の化合物/薬剤の組み合わせを含む薬学的パックにおいて、個々の化合物/薬剤は、一体型の製剤または非一体型の製剤であってもよい。単位用量はブリスターパック内に含まれていてもよい。薬学的パックは任意に使用説明書をさらに含んでもよい。]
[0122] 本明細書では、「患者パック」なる語は、治療コース全体に対する医薬組成物を含む、患者に対して処方されたパッケージを規定する。患者パックは、通常1つ以上のブリスターパックを含んでいる。患者パックは、調剤師がバルク供給から患者分の医薬を分配する従来の処方箋調剤に優る利点があり、患者は患者パックに入っている、患者の処方箋調剤では見ることができない添付文書をいつでも見ることができる。添付文書を包含しておけば、患者が医師の指示をよりよく遵守することが示されている。]
[0123] 下記の一般的な好ましい選択肢および定義が、文脈上他の意味に解す場合を除き、置換基R1、R2、およびR3に適用される。]
[0124] 本明細書では「アルキル」なる語は、従来の意味で用いられ、実験式CnH2n+1(ここでnは整数(例えば、1〜6)である)を有する基を意味する。「アルキル」なる語は、直鎖および分岐鎖両方のアルキル基を包含する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、ならびにn−ヘキシルおよびその異性体が挙げられる。1〜6個の炭素原子を有するアルキル基のサブセットの内で、特定の例としては、C1−4アルキル基(例えば、C1−3アルキル基またはC1−2アルキル基またはC2−3アルキル基またはC2−4アルキル基)が挙げられる。]
[0125] 本明細書では「シクロアルキル」なる語は、従来の意味で用いられ、実験式CnH2n−1(ここでnは整数である)を有する環状アルキル基を意味する。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが挙げられる。]
[0126] 本明細書では「アルケニル」なる語は、従来の意味で用いられ、1個以上の炭素炭素二重結合、より好ましくは1個の炭素炭素二重結合を含む非環式炭化水素基を意味する。アルケニル基の例としては、エテニル(ビニル)、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、ブテニル、およびブタ−1,4−ジエニルが挙げられる。]
[0127] 本明細書では「アルキニル」なる語は、従来の意味で用いられ、炭素炭素三重結合を含む炭化水素基を意味する。好ましいアルキニル基は、プロパルギル基である。]
[0128] 本明細書では接頭語「Cx−y」(ここでxおよびyは整数)は所与の基における炭素原子の数を指す。したがって、C1−4アルキル基は1〜4個の炭素原子を含み、C3−6シクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含み、C1−4アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含み、他のものも同様である。]
[0129] 本明細書では「アルコキシ」なる語は、従来の意味で使用され、実験式OCnH2n+1(ここでnは整数(例えば、1〜6)である)を有する基を意味する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、1−メチルプロポキシ、2−メチルプロポキシ、およびtert−ブトキシがある。]
[0130] 本明細書では「飽和ヘテロ環」なる語は、隣接する環員間で多重結合(例えば、二重結合)を有さず、1個以上のヘテロ原子環員を含有し、残りの環員が炭素原子である環状基を意味する。特に明記しない限り、飽和ヘテロ環は、O、NおよびSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる1個または2個のヘテロ原子環員を含む。好ましい飽和ヘテロ環基は、5個または6個の環員を有するものである。飽和ヘテロ環基の例としては、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン、アゼピン、モルホリン、チオモルホリン、チオモルホリンS−オキシドおよびS,S−ジオキシド、ピペラジン、ならびにN−メチルピペラジンが挙げられる。特定の飽和ヘテロ環基は、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、およびN−メチルピペラジンである。]
[0131] 本明細書では「アリール」なる語は、従来の意味で用いられ、環員がすべて炭素原子である芳香族基を意味する。アリール基は単環式であっても二環式であってもよく、したがってフェニル基またはナフチル基であってもよい。アリール基は非置換であってもよいし、4個までの置換基、より典型的には3個までの置換基、そして好ましくは2個までの置換基で置換されていてもよい。本明細書における置換基R12の文脈では、アリール基は好ましくは単環式であり、置換されていてもよいフェニル基であり、ここでフェニル基に対する任意の置換基は、C1−4アルキル(例えば、メチル)、ハロゲン(例えば、塩素、フッ素、または臭素)、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、C1−4アルコキシ(例えば、メトキシ)、メチレンジオキシから選ばれる。1つの一般的な実施形態では、置換基R12の一部を形成するアリール基は、非置換のフェニルであってもよいし、あるいは、メチル、メトキシ、フッ素、または塩素から選ばれる1または2個の置換基により置換されたフェニルであってもよい。]
[0132] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例を構成する種々の官能基および置換基は、典型的には、本発明の化合物の分子量が1000を超えないように選ばれる。より通常には、化合物の分子量は、750未満、例えば、700未満、650未満、600未満、または550未満になる。より好ましくは、分子量は、525未満、例えば、500以下である。]
[0133] 塩、溶媒和物、互変異性体、異性体、N−オキシド、および同位体
式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例に対する言及は、例えば、下に記載するそのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、同位体、および保護形態;好ましくは、その塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物;より好ましくは、その塩または互変異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物も含む。]
[0134] 上記化合物の多くは、例えば酸付加塩、または特定の場合には有機塩基および無機塩基の塩、例えば、フェノール酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、およびリン酸塩の形態で存在し得る。このような塩すべてが本発明の範囲内であり、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例に対する言及には当該化合物の塩の形態を含む。]
[0135] 本発明の塩は、「医薬用塩:特性、選択および使用(Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use)」、ハインリヒスタール(P. Heinrich Stahl)(編者)、カミールワーマス(Camille G. Wermuth)(編者)、ISBN:3−90639−026−8、ハードカバー、388ページ、2002年8月、に記載されている方法などの通常の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中の適切な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。]
[0136] 酸付加塩は、無機および有機双方の様々な酸と形成される。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)ショウノウ酸、ショウノウ−スルホン酸、(+)−(1S)−ショウノウ−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、および吉草酸からなる群から選ばれる酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成された塩が挙げられる。]
[0137] 化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COO−となり得る)を有する場合には、塩は、適切な陽イオンを伴って形成できる。適切な無機陽イオンの例としては、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類金属陽イオン、ならびにAl3+などの他の陽イオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切な有機陽イオンの例としては、アンモニウムイオン(すなわち、NH4+)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2+、NHR3+、NR4+)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸に由来するのものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例としては、N(CH3)4+が挙げられる。]
[0138] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物は、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例の範囲内にある。]
[0139] 本発明の化合物の塩形態は典型的には医薬上許容される塩であり、医薬上許容される塩の例は、ベルジュ(Berge)ら、1977年、薬学的許容塩(Pharmaceutically Acceptable Salts)、「ジャーナル・オブ・ファーマシューティカルサイエンス(J. Pharm. Sci.)」、第66巻、1〜19ページに記載されている。しかしながら、医薬上許容されない塩も中間形態として製造されてよく、これらはその後医薬上許容される塩へと変換することができる。このような医薬上許容されない塩形態も、例えば本発明の化合物の精製または分離に有用である場合があり、本発明の一部をなす。]
[0140] アミン官能基を含む式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例はN−オキシドを形成し得る。アミン官能基を含む式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例に対する本明細書における言及には、N−オキシドも包含する。]
[0141] 化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1個以上の窒素原子を酸化してN−オキシドを形成できる。N−オキシドの特定の例としては、窒素含有ヘテロ環の第三級アミンまたは窒素原子のN−オキシドがある。]
[0142] N−オキシドは、過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)のような酸化剤で対応するアミンを処理することにより形成されてもよい(例えば、「機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)」、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ワイリーインターサイエンス(Wiley Interscience)、ページ、を参照のこと)。より具体的には、N−オキシドはデディー(L.W.Deady)(「シンセティックコミュニケーションズ(Syn. Comm.)」、1977年、7、509〜514ページ)の方法により製造されてもよく、この方法ではアミン化合物を、例えばジクロロメタンなどの不活性溶媒中でm−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。]
[0143] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在する可能性があり、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例に対する言及には、このような形態が全て包含される。誤解を避けるため記述すると、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例は、いくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在でき、1種類のみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり意図される。]
[0144] 互変異性型の例としては、例えば、ケト型、エノール型、およびエノレート型があり、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下に示す)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ−ニトロなどの場合がある。]
[0145] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例が1つ以上のキラル中心を有し、かつ、2種以上の光学異性体の形態で存在できる場合、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例に対する言及は、文脈上他の意味に解する場合を除き、その全ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、混合物(例えば、ラセミ混合物)または2種以上の光学異性体として含む。]
[0146] 光学異性体は、その光学活性(すなわち、+および−異性体、またはdおよびl異性体)として特性評価および同定してもよいし、カーン(Cahn)、インゴールド(Ingold)およびプレログ(Prelog)により開発された「RおよびS」命名法を用いて絶対立体化学に基づき特性評価してもよい、「機能化学特論(Advanced Organic Chemistry)」、ジェリーマーチ(Jerry March)、第4版、ジョンワイリー&サンズ、ニューヨーク、1992年、109〜114ページを参照のこと、またカーン、インゴールド&プレログ(Cahn、 Ingold & Prelog)、「アンゲヴァンテケミーインターナショナルエディション(Angew. Chem. Int. Ed.)」、Engl.、1966年、5、385〜415ページを参照のこと。]
[0147] 光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)をはじめとする様々な技術によって分離してもよく、このような技術は当業者に周知のものである。]
[0148] キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−ショウノウ−スルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離してもよい。]
[0149] 式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例が2種以上の光学異性型で存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。したがって、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体の1種のみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1つ以上のキラル中心を有する式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例を含み、本発明の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。1つの一般的な実施態様では、式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在していてもよい。]
[0150] 本発明の化合物は、1つ以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の全ての同位体を含む。例えば、水素の場合、その範囲内に1H、2H(D)、および3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cと、16Oおよび18Oとを含む。]
[0151] 同位体は放射性であっても放射性でなくてもよい。本発明の一実施態様では、化合物は放射性同位体を含まない。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、別の実施態様では、化合物は1個以上の放射性同位体を含んでもよい。このような放射性同位体を含む化合物は診断の場合に有用となる可能性がある。]
[0152] また式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例によって、当該化合物の任意の多形、当該化合物の溶媒和物(例えば、水和物)および錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体すなわち包接化合物、あるいは金属との錯体)が包含される。]
[0153] 好ましい溶媒和物は、非毒性の薬学的に許容される溶媒(以下、溶媒和性溶媒(solvating solvent)と呼ぶ)の分子が本発明の化合物の固体構造(例えば、結晶構造)に取り込まれることにより形成した溶媒和物である。このような溶媒の例としては、水、アルコール(エタノール、イソプロパノール、およびブタノールなど)、およびジメチルスルホキシドが挙げられる。溶媒和物は、溶媒和性溶媒を含む溶媒または混合溶媒で本発明の化合物を再結晶化させることにより調製してもよい。溶媒和物が所与の場合に形成されたかどうかは、熱重量分析(TGE)、示差走査熱量測定法(DSC)、およびX線結晶解析などの周知であり標準的な技術を用いて、化合物の結晶を分析に供することにより決定し得る。]
[0154] 溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的な溶媒和物であり得る。]
[0155] 特に好ましい溶媒和物は水和物であり、水和物の例としては、半水化物、一水和物、および二水和物が挙げられる。]
[0156] 溶媒和物のより詳細な記載、ならびに溶媒和物の製造および特性評価に用いられる方法に関しては、ブリン(Bryn)ら、「ソリッドステートケミストリー・オブ・ドラッグス(Solid-State Chemistry of Drugs)」、第2版、SSCI社発行、ウェスト・ラファイエット、インディアナ州、米国)、1999年、ISBN0−967−06710−3を参照のこと。]
[0157] 生物学的活性および治療上の使用
式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、(5)の化合物ならびにその実施形態、サブグループ、サブセット、好ましい選択肢、および例は、Hsp90阻害剤である化合物のプロドラッグであると考えられる。]
[0158] 本発明のプロドラッグ化合物は、その親化合物に対して多くの利点を有する可能性がある。例えば、当該プロドラッグ化合物は、例えば向上した腸管吸収による、向上した経口バイオアベイラビリティーを呈し得る。さらに、プロドラッグを形成することにより、親化合物の共役(conjugation)および/または代謝が実質的に減少され得る。]
[0159] 本発明のプロドラッグ化合物は、広範囲の増殖性疾患の治療に有益であると期待される。このような増殖性疾患の例としては、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、消化管系の癌(例えば、消化管間質性腫瘍)、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌);リンパ球系列の造血系腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、イマチニブ感受性および抵抗性の慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、または前骨髄球性白血病を含む);甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫または横紋筋肉種);中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫(高悪性度神経膠腫)または神経鞘腫);黒色腫(例えば、悪性または転移性黒色腫);精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;角化棘細胞腫;甲状腺瀘胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられるが、これらに限定されるものではない。間葉由来の腫瘍のその他の例としてはユーイング肉腫がある。]
[0160] 癌の1つのサブグループとしては、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌)、食道癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、甲状腺癌、前立腺癌、消化管系の癌(例えば、消化管間質性腫瘍)、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌);リンパ球系列の造血系腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、イマチニブ感受性および抵抗性の慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、または前骨髄球性白血病を含む);甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫または横紋筋肉種);中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫(高悪性度神経膠腫));黒色腫(例えば、悪性または転移性黒色腫);骨肉腫;または甲状腺瀘胞癌が挙げられる。間葉由来の腫瘍のその他の例としてはユーイング肉腫がある。]
[0161] 癌の1つの好ましいのグループは、HER2陽性である転移性乳癌;前立腺の腺癌;転移性黒色腫;肺非小細胞癌(NSCLC);肺小細胞癌(SCLC);高悪性度神経膠腫;消化管間質性腫瘍(GIST);結腸直腸癌;膠芽腫;黒色腫;転移甲状腺癌;前立腺癌;および直腸癌から選ばれる固形腫瘍からなる。]
[0162] このグループの癌の内で、特定のサブグループは、結腸直腸癌;膠芽腫;黒色腫;転移甲状腺癌;前立腺癌;および直腸癌からなる。]
[0163] 上記の癌は、Hsp90阻害に感受性のある癌である可能性があり、このような癌は「診断方法」と題した節に示す方法により判定することができる。]
[0164] 癌の1つのグループには、ヒト乳癌(例えば、原発性乳癌、リンパ節転移陰性乳癌、浸潤性乳管癌、非類内膜乳癌);およびマントル細胞リンパ腫が含まれる。さらに、他の癌として、結腸直腸癌および子宮内膜癌がある。]
[0165] 癌の別のサブセットには、リンパ球系および骨髄細胞系列双方の造血系腫瘍、例えば、急性リンパ芽球性白血病および慢性リンパ性白血病(T細胞およびB細胞両方)、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、マントル細胞リンパ腫およびB細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)が含まれ、さらに、場合によっては慢性骨髄性白血病および多発性骨髄腫が含まれる。]
[0166] 癌の好ましいサブセットは、ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌;慢性骨髄性白血病;アンドロゲン受容体依存性前立腺癌;Flt3依存性急性骨髄性白血病;Braf変異関連黒色腫;多発性骨髄腫;ベルケイド抵抗性の多発性骨髄腫;および消化管間質性腫瘍(GIST)からなる。]
[0167] これらのうち特に好ましい癌は、本明細書で規定する多発性骨髄腫およびベルケイド抵抗性の腫瘍タイプである。]
[0168] 他の癌の好ましいサブセットは、ホルモン抵抗性の前立腺癌、転移性黒色腫、HER2陽性乳癌、変異EGFR陽性非小細胞肺癌、およびグリベック抵抗性の消化管間質性腫瘍からなる。]
[0169] 癌のさらなる好ましいサブセットは、ホルモン抵抗性の前立腺癌、転移性黒色腫、HER2陽性乳癌、変異EGFR陽性非小細胞肺癌、小細胞肺癌、および消化管間質性腫瘍からなる。]
[0170] Hsp90阻害剤は、ウイルス感染、寄生虫性疾患、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症および紅斑性狼瘡)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)、炎症、I型およびII型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、心疾患、ならびに色素性乾皮症(癌でないが、紫外線で誘発された皮膚癌になりやすい傾向があるDNA修複の遺伝的な多系統疾患)などの他の症状の治療にも使用することができる。]
[0171] またHsp90阻害剤は、移植および免疫抑制にも臨床上の利益を有する可能性がある。]
[0172] またHsp90阻害剤は、既存治療薬または新規治療薬と併用した場合に上記の疾患において臨床上の利益を有する可能性がある。]
[0173] Hsp90クライアントタンパク質の活性と実験的証拠に基づけば、以下の疾患がHsp90阻害剤による治療に特に感受性がある可能性がある。]
[0174] ErbB2陽性の乳癌、前立腺癌、肺癌、および胃癌
ErbB2(HER−2)の過剰発現は乳癌の約30%に見られ、予後の悪さと薬剤耐性に関連している(ツガワ(Tsugawa)ら)1993年、「オンコロジー(Oncology)」、1993年;50:418)。]
[0175] 肺癌における変異EGFR
L858Rおよびエクソン19の欠失を含む、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)のキナーゼドメインの体細胞変異は、非小細胞肺癌(NSCLC)におけるゲフィチニブおよびエルロチニブ応答性の基礎にある。これらのチロシンキナーゼ阻害剤に対する獲得耐性には、いくつかの場合、第2の変異T790Mにより仲介される。ゲルダナマイシンなどのアンサマイシン系抗生物質は熱ショックタンパク質90(Hsp90)を強力に阻害し、適切なコンフォメーションへの折りたたみにシャペロンを必要とする発癌性キナーゼのユビキチン仲介性の分解を促進する。EGFR変異の細胞株をゲルダナマイシンに曝露すると、リン酸化AktおよびサイクリンD1の著しい枯渇ならびにアポトーシスが誘導された。これらのデータは、EGFRの変異による活性化は、安定性についてHsp90依存性に関連し、Hsp90の阻害がEGFR変異のNSCLC治療のための新たな戦略となり得ることを示唆する。]
[0176] 慢性骨髄性白血病
異常なBCR−Ablタンパク質は染色体の転座により作り出され、構成的に活性のあるAblキナーゼドメインが生じる。この転座はCMLの原因であることが示されている。P210BcrAblはHsp90の既知のクライアントタンパク質である。BCR−Abl陽性細胞株K562をHsp90阻害剤で処理するとアポトーシスが誘導された。Bcr−Abl阻害剤グリベック(登録商標)もまたK562細胞においてアポトーシスを誘導するが、グリベック(登録商標)耐性K562細胞はHsp90阻害剤に対する感受性を維持する(ゴレ(Gorre)ら、2002年、「ブラッド(Blood)」100:3041〜3044ページ)。]
[0177] アンドロゲン受容体依存性前立腺癌
アンドロゲン受容体キナーゼはHsp90クライアントタンパク質である。耐性の発生が不可避ではあるが、テストステロンは、依然として非限局性疾患に対する一次治療である。いくつかの症例では、耐性は、リガンド非依存性のシグナル伝達をもたらすアンドロゲン受容体において起こる変異の結果として発生する。このような環境下では、Hsp90の阻害に続くアンドロゲン受容体発現のダウンレギュレーションは、見込みのある治療手法をである。]
[0178] 並列システム(parallel system)がエストロゲン依存性乳癌で存在する。]
[0179] Flt3依存性急性骨髄性白血病
チロシンキナーゼ受容体Flt3の内部重複により、その構成的活性化および発癌性がもたらされる。これらの内部重複は報告されている全AML癌の20%で見られ、予後の悪さの指標となる。Flt3シグナル伝達の阻害は過渡応答にもたらすことが示されている。Flt3はHsp90クライアントタンパク質であることから、Hsp90阻害剤はこれらの患者に臨床上有益であるものと推測される(バリ(Bali)ら、2004年、「キャンサーリサーチ(Cancer Res.)」64(10):3645〜52ページ)。]
[0180] Braf変異関連黒色腫
Brafはセリン/スレオニンキナーゼをコードし、全ての黒色腫の70%で変異している。これらの80%は、BRAFに増加したキナーゼ活性を与える単一のV599E点変異を示す。この変異はNIH3T3細胞においてもまた変化する(ビグネル(Bignell)ら、2002年、「ネイチャー(Nature)」417(6892):949〜54ページ)。]
[0181] 多発性骨髄腫
Hsp90阻害剤17−AAGは、ボルテゾミブ抵抗性の多発性骨髄腫細胞株の増殖を強力に阻害する。IGF−1RおよびIL−6Rの細胞表面レベルは、17−AAGで処理されたMM−1細胞でも減少する(ミチエーズ(Mitsiades)ら、「ブラッド(Blood)」、107:1092〜1100ページ、2006年)。また、IL−6による多発性骨髄腫細胞のオートクライン刺激ならびに骨髄間質細胞のパラクライン刺激もHsp90クライアントIKKのダウンレギュレーションを介して減少する。]
[0182] ボルテゾミブ(ベルケイド)抵抗性癌
本発明の化合物は、多発性骨髄腫、マントル細胞リンパ腫、緩徐進行性非ホジキンリンパ腫、第IIIB期およびIV期細気管支肺胞上皮癌、進行性非小細胞肺癌、乳癌、前立腺癌および卵巣癌ならびに非ホジキンリンパ腫患者の治療を含む、ベルケイド抵抗性の腫瘍タイプの治療に使用することができる。]
[0183] 消化管間質性腫瘍(GIST)
GIST腫瘍は、特に、増殖因子(例えば、c−kit)の活性化または過剰発現に依存する疾患である。]
[0184] B−CLL
ZAP−70は、CLLを有する患者の循環性リンパ球における(このキナーゼが通常発現されるT細胞においてではなく)Hsp90クライアントタンパク質である。したがって、ZAP−70のシャペロン依存性はZAP−70が発現される細胞の種類に依存するのでZAP−70は同定されたHsp90クライアントの中ではユニークである。]
[0185] Hsp90阻害剤が臨床上有益である可能性のある他の症状または疾患としては、限定されるものではないが、以下のものがある。]
[0186] 神経変性疾患
ハンチントン病(HD)は、有効な治療の無い進行性の神経変性疾患である。Hsp90のGA阻害およびその結果としてのHspのアップレギュレーションは、神経細胞におけるハンチントンタンパク質の凝集の阻害に有効である(シトラー(Sittler)ら、2001年、「ヒューマン・モレキュラー・ジェネティックス(Human Molecular Genetics)」、第10巻、第12号、1307〜1315ページ)。Hspのアップレギュレーションはまた、他のタンパク質の異常な折りたたみに起因する疾患、例えば、CJDおよびアルツハイマー病にも臨床上有益である可能性がある。]
[0187] 関節リウマチ、喘息、慢性閉塞性肺疾患、および炎症性腸疾患を含む炎症性疾患
GAはHsp90からHSF−1を解離してHSF−1の活性化と核移行をもたらすことが示されている。HSF−1は次に転写因子として働き、Hsp90およびHsp70を誘導する。浮腫誘導マウスモデルにおいて、Hsp70の誘導は炎症の緩和に関連づけられている(イアナロ(Ianaro)ら、2004年、「ヒューマン・モレキュラー・ジェネティックス(Human Molecular Genetics)」、2001年、第10巻、第12号、1307〜1315ページ)。さらに、GA処理は、TNF−αまたはPMAによるIκBキナーゼ(IKK)の活性化を阻害した。IKKはNf−κBおよびAp−1のレギュレーターである(ブレーマー(Broemer)ら、2004年)。Ap−1およびNf−κBは炎症誘発性サイトカインの産生をもたらす主要な転写因子である(エオ(Yeo)ら、2004年、「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ(Biochem Biophys Res Commun.)」30;320(3):816〜24ページ)。炎症誘発性サイトカイン転写産物の安定性もまたp38MapKの阻害を介して調節される(ワックス(Wax)ら、2003年、「リューマチズム(Rheumatism)」、第48巻、第2号、541〜550ページ)。]
[0188] アテローム性動脈硬化症
ヒトアテローム性動脈硬化症の発症および進行において、炎症性細胞および免疫細胞が中心的役割を担うことが知られており(リガノ(Rigano)ら、「ニューヨークアカデミー・オブ・サイエンス年報(Ann. N.Y. Acad. Sci.)」、2007年、1107:1〜10ページ)、Hsp90が頚動脈アテローム性動脈硬化症における自己抗原として作用することが提唱されている。リガノらは、頚動脈アテローム硬化性プラークに罹患している60%の被験者の血清中に、Hsp90に特異的な抗体および細胞が存在するが、健康な被験者の血清中にはHsp90を標的とする特異的な抗体またはT細胞は存在しないことを見出した。したがって、Hsp90の阻害剤は、アテローム性動脈硬化症の治療または予防に有用である可能性がある。]
[0189] 血管形成関連疾患(腫瘍血管形成、乾癬、関節リウマチおよび糖尿病性網膜症を含むがこれらに限定されない)
内皮細胞における、血管形成の誘導は、Hsp90クライアントタンパク質であるeNOSおよびAktにより調節される(サン(Sun)およびリャオ(Liao)、2004年、「アーティリオスクローシス・スランボーシス・アンド・ヴァスキュラー・バイオロジー(Arterioscler Thromb Vasc Biol.)」24(12):2238〜44ページ)。また、マウスモデルでは、低酸素誘導性因子(HIF)−1αの抑制は、胃腫瘍の増殖、血管形成、および血管成熟を損ない得る(ストールツィング(Stoeltzing)ら、2004年、「ジャーナル・オブ・ナショナル・キャンサー・インスティテュート(J Natl Cancer Inst)」;96:946〜956ページ)。]
[0190] I型およびII型糖尿病
Hsp90の阻害は、Aktシグナル伝達ならびにe−nosに著しい作用を示す。これらは、I型糖尿病の高グルコースにより誘導される内皮細胞アポトーシス(リン(Lin)ら、2005年、「ジャーナル・オブ・セルラー・バイオケミストリー(J Cell Biochem.)」1;94(1):194〜201ページ)およびII型糖尿病の高血圧症の発症(コバヤシ(Kobayashi)ら、2004年、「ハイパーテンション(Hypertension)」44(6):956〜62ページ)における2つの重要なレギュレーターである。]
[0191] 免疫抑制および移植
Hsp90阻害は、T細胞の活性化に必要なT細胞特異的チロシンキナーゼであるLckをダウンレギュレーションすることが示されている(ヨルギン(Yorgin)ら、2000年、「ジャーナル・オブ・イムノロジー(J Immunol.)」15;164(6):2915〜23ページ)。]
[0192] 心疾患
心虚血は、西洋諸国において最も多い死因である。Hsp、特に、Hsp70(ラディシコール処理により誘導)はラット心筋細胞において心臓保護活性を示す(グリフィン(Griffin)ら、2004年)。Hsp90が阻害されると、シャペロン複合体からHSF−1が遊離し、次に、Hsp遺伝子の活性化が起こる。Hsp90の阻害はまた、HIF−1のダウンレギュレーションをもたらし、これが虚血性心疾患および卒中の病因と関連づけられている。]
[0193] 感染症
C型肝炎ウイルスNS2/3プロテアーゼはHsp90クライアントタンパク質であり、Hsp90活性はウイルスのプロセッシングおよび複製に必要である(ホイットニー(Whitney)ら、2001年、「米国科学アカデミー紀要(Proc Natl Acad Sci USA)」、20;98(24):13931〜5ページ)。]
[0194] 寄生虫性疾患
ゲルダナマイシン(GA)に関しては、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)において見られるHsp90オーソログに対する抗マラリア活性が報告されている。マラリア原虫の増殖は、クロロキンにより見られるものと同じようなIC50でGAにより阻害された。GAはまた、熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性株に対しても有効である(クマール(Kumar)ら、2003年、マラリアジャーナル(Malar J.)15;2(1):30ページ)。]
[0195] 薬剤耐性の発生の阻害、予防、または撤回
上記のように、一般にストレスタンパク質機能(および特にHsp90)のモジュレーターまたはインヒビターは、以下の能力を有する化学療法薬のクラスを表す。(i)抗癌薬剤および/または治療に対して悪性細胞を感作させる;(ii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発生率を緩和または低減する;(iii)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性を撤回させる;(iv)抗癌薬剤および/または治療の活性を増強する;(v)抗癌薬剤および/または治療に対する耐性の発現を遅延または防止する。]
[0196] したがって、本発明はさらに下記のものを提供する。
・Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(あるいはその罹患率の緩和または低減)方法であって、本発明の化合物をその必要のある被験体に投与することを含み、当該Hsp90により仲介される病態もしくは症状が抗癌剤に対する耐性の発生である方法。
・(i)抗癌剤に対して悪性細胞を感作させる、(ii)抗癌剤に対する耐性の発生率を緩和または低減する、(iii)抗癌剤に対する耐性を撤回させる、(iv)抗癌剤の活性を増強する、(v)抗癌剤に対する耐性の発現を遅延または防止する方法であって、その必要のある被験体に本発明の化合物を投与することを含む方法。
・癌の治療方法であって、その必要のある被験体に本発明の化合物を投与することを含み、薬剤耐性が現れないことを特徴とする方法。
・治療薬(例えば、抗癌剤)で治療を受けている被験体におけるHsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療(あるいはその罹患率の緩和または低減)方法であって、当該被験体に本発明の化合物を投与することを含み、当該Hsp90により仲介される病態もしくは症状が当該治療薬に対する耐性の発生である方法。
・(i)抗癌剤に対して悪性細胞を感作させる、(ii)抗癌剤に対する耐性の発生率を緩和または低減する、(iii)抗癌剤に対する耐性を撤回させる、(iv)抗癌剤の活性を増強する、(v)抗癌剤に対する耐性の発現を遅延または防止する方法であって、当該抗癌剤で治療を受けている被験体に本発明の化合物を投与することを含む方法。
・抗癌剤で治療を受けている被験体における癌の治療方法であって、その必要のある被験体に本発明の化合物を投与することを含み、当該抗癌剤に対する薬剤耐性が現れないことを特徴とする方法。]
[0197] 生物学的活性
本発明のプロドラッグ化合物が由来するフェノール化合物の生物学的活性(例えば、Hsp90の阻害剤としての)は、以下の実施例で示すアッセイ、例えば、実施例46に記載する等温滴定熱量測定(ITC)実験および実施例47に記載する抗増殖活性アッセイを用いて測定することができる。ITCアッセイにおいて、所与の化合物が示す活性レベルはKd値として規定することができ、本発明の好ましい化合物は、1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のKd値を有する化合物である。抗増殖活性アッセイでは、アッセイにおいて、所与の化合物が示す活性レベルはIC50値として規定することができ、本発明の好ましい化合物は1マイクロモル未満、より好ましくは0.1マイクロモル未満のIC50値を有する化合物である。]
[0198] hERG
1990年代末頃、米国FDAによって認可された多くの医薬品が、心機能不全による死亡に関係していることが見出されたため、米国市場からの撤退を余儀なくされた。後に、これらの医薬品の副作用は、心臓細胞におけるhERGチャネルのブロッキングによる不整脈の発生であることが分かった。hERGチャネルは、カリウムイオンチャネルファミリーの1つであり、その最初のメンバーは、1980年代末頃に、ショウジョウバエの一種であるキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の変異体で見出された(ジャン(Jan, L.Y.)およびジャン(Jan, Y.N.)(1990年)「イオンチャネルのスーパーファミリー(A Superfamily of Ion Channels)」、ネイチャー(Nature)、345(6277):672ページを参照)。hERGカリウムイオンチャネルの生物物理特性は、サンギネッチ(Sanguinetti, M.C.)、ジャン(Jiang, C)、クラン(Curran, M.E.)、およびキーティング(Keating, M.T.)(1995年)「遺伝性心不整脈と後天性心不整脈との機構的関連:HERGはIkrカリウムチャネルをコードする(A Mechanistic Link Between an Inherited and an Acquired Cardiac Arrhythmia: HERG encodes the Ikr potassium channel)」、「セル(Cell)」、81:299〜307ページ、ならびにトルード(Trudeau, M.C.)、ウォームク(Warmke, J.W.)、ゲネツキー(Ganetzky, B.)、およびロバートソン(Robertson, G.A.)(1995年)HERG、電位依存性カリウムチャネルファミリーにおけるヒトの内向き整流(HERG, a Human Inward Rectifier in the Voltage-Gated Potassium Channel Family)、「サイエンス(Science)」、269:92〜95ページに記載されている。]
[0199] hERGをブロックする活性の除去は、依然としてあらゆる新規な医薬品の開発における重要な懸案事項である。]
权利要求:

請求項1
式(1a)の化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体であって:式中、R1はR1aでありR2はR2aであるか;またはR1はR1bでありR2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、およびC2−4アルキニルから選ばれ、ここでC1−4アルキルはC1−2アルコキシによって置換されていてもよく;R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキルであり、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか、またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NまたはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;かつR3は基Dであり:式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表すが;しかし酢酸5−アセトキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル化合物を除く、化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体。
請求項2
式(1b)で表される請求項1に記載の化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体であって:式中、R1はR1aでありR2はR2aであるか;またはR1はR1bでありR2はR2bであるが;但しそれぞれの場合においてR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;R1aおよびR2aは、同一または異なって、それぞれ水素、C1−2アルキル、C2−3アルケニル、およびC2−3アルキニルから選ばれ、ここでC1−2アルキルはメトキシによって置換されていてもよく;R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)NR4R5から選ばれ、ここでR4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか;またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NまたはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;またはR1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)R6aから選ばれ、ここでR6aはC2−4アルキルであり;またはR1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)R6から選ばれ、ここでR6はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、およびtert−ブチルから選ばれるか;またはR1bおよびR2bの一方はC(O)NR4aR5aであり、ここでR4aおよびR5aはいずれもC1−4アルキルであり、R1bおよびR2bの他方はC(O)R6およびC(O)OR6から選ばれ;かつR3は基Dであり:式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表す、化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体。
請求項3
式(1c)で表される請求項2に記載の化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体であって:式中、R1はR1bであり、R2はR2bであるが;但しR1およびR2の少なくとも一方は水素以外であり;R1bおよびR2bは、同一または異なって、水素およびC(O)NR4R5から選ばれ、ここでR4およびR5はいずれもC1−4アルキルであるか;またはNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NまたはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含み、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよく;かつR3は基Dであり:式中、アスタリスクはイソインドリン環への結合部位を表す、化合物またはその塩、溶媒和物、N−オキシド、もしくは互変異性体。
請求項4
R1がR1aでありR2がR2aである、請求項1に記載の化合物。
請求項5
R1aおよびR2aが、同一または異なって、それぞれ水素、C1−2アルキル、C2−3アルケニル、およびC2−3アルキニルから選ばれ、ここでC1−2アルキルはメトキシによって置換されていてもよい、請求項4に記載の化合物。
請求項6
R1aおよびR2aが、それぞれ水素、メチル、メトキシメチル、およびアリルから選ばれる、請求項5に記載の化合物。
請求項7
R1aおよびR2aが、それぞれ水素およびメチルから選ばれる、請求項6に記載の化合物。
請求項8
R1aおよびR2aが、それぞれ水素およびメトキシメチルから選ばれる、請求項6に記載の化合物。
請求項9
R1aおよびR2aが、それぞれ水素およびアリルから選ばれる、請求項6に記載の化合物。
請求項10
R1がR1bであり、R2がR2bである、請求項1または2に記載の化合物。
請求項11
R1bおよびR2bが、同一または異なって、それぞれ水素、C(O)NR4R5、C(O)R6、およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6はC1−4アルキル、R4およびR5はいずれもC1−4アルキルである、請求項3または請求項10に記載の化合物。
請求項12
R1bおよびR2bが、同一または異なって、水素およびC(O)NR4R5から選ばれる、請求項11に記載の化合物。
請求項13
R4およびR5がいずれもC1−3アルキルである、請求項12に記載の化合物。
請求項14
R4およびR5がいずれもメチルおよびエチルから選ばれる、請求項13に記載の化合物。
請求項15
R4およびR5がいずれもメチルである、請求項14に記載の化合物。
請求項16
R1bおよびR2bが、同一または異なって、水素およびC(O)R6から選ばれる、請求項11に記載の化合物。
請求項17
R6が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、およびtert−ブチルから選ばれる、請求項116に記載の化合物。
請求項18
R6がC2−4アルキルである、請求項17に記載の化合物。
請求項19
R6がC3−4アルキルである、請求項18に記載の化合物。
請求項20
R6がtert−ブチルまたはイソプロピルである、請求項19に記載の化合物。
請求項21
R1bおよびR2bが、同一または異なって、水素およびC(O)OR6から選ばれる、請求項11に記載の化合物。
請求項22
R6が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、およびtert−ブチルから選ばれる、請求項21に記載の化合物。
請求項23
R6がC2−4アルキルである、請求項22に記載の化合物。
請求項24
R6がC3−4アルキルである、請求項23に記載の化合物。
請求項25
R6がtert−ブチルまたはイソプロピルである、請求項24に記載の化合物。
請求項26
R1bおよびR2bの一方がC(O)NR4R5であり、ここでR4およびR5はいずれもC1−4アルキルであり、R1bおよびR2bの他方がC(O)R6およびC(O)OR6から選ばれ、ここでR6は請求項17〜25のいずれか一項に記載の通りである、請求項11に記載の化合物。
請求項27
R1bおよびR2bが、同一または異なって、それぞれ水素または基C(O)NR4R5であり、ここでNR4R5は4〜7員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NまたはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含んでおり、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよい、請求項3または請求項10に記載の化合物。
請求項28
前記飽和ヘテロ環が、アゼチジン、ピロリジン、ピロリドン、ピペリジン、ピペリドン、アゼピン、ピペラジン、4−メチルピペラジン、モルホリン、およびチオモルホリンから選ばれる、請求項27に記載の化合物。
請求項29
NR4R5が、5員または6員の飽和ヘテロ環を形成し、場合によってO、NまたはSならびに酸化した形態のNおよびSから選ばれる第2のヘテロ原子環員を含んでおり、前記ヘテロ環は1もしくは2個のC1−4アルキル基および/または1もしくは2個のオキソ基によって置換されていてもよい、請求項27に記載の化合物。
請求項30
前記飽和ヘテロ環が、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、4−メチルピペラジン、およびモルホリンから選ばれる、請求項29に記載の化合物。
請求項31
前記飽和ヘテロ環がピロリジンである、請求項30に記載の化合物。
請求項32
前記飽和ヘテロ環がモルホリンである、請求項30に記載の化合物。
請求項33
R1およびR2の一方が水素以外であり、他方が水素である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
請求項34
R2が水素以外である、請求項33に記載の化合物。
請求項35
R1およびR2がいずれも水素以外である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の化合物。
請求項36
(4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−メトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;(2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−メトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;(5−イソプロピル−2,4−ジメトキシ−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;(2−アリルオキシ−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;(4−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;(2,4−ビス−アリルオキシ−5−イソプロピル−フェニル)−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;[4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−2−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;[2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−4−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;[5−イソプロピル−2,4−ビス−(メトキシメチルオキシ)−フェニル]−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−イル]−メタノン;ジエチル−カルバミン酸5−ジエチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;ジメチル−カルバミン酸5−ジメチルカルバモイルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;2−[2,4−ビス−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;2−[2,4−ビス−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;ジエチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;ジエチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;2−[2−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;2−[4−(ピロリジン−1−イルカルボニルオキシ)−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;2−[2−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−4−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;2−[4−(モルホリン−4−イルカルボニルオキシ)−2−ヒドロキシ−5−イソプロピル−ベンゾイル]−5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール;炭酸tert−ブチルエステル5−ジメチルカルバモイルオキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;炭酸5−tert−ブトキシカルボニルオキシ−4−イソプロピル−2−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステルtert−ブチルエステル;2,2−ジメチル−プロピオン酸5−(2,2−ジメチル−プロピオニルオキシ)−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;イソ酪酸5−イソブチリルオキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル;から選ばれる請求項1に記載の化合物、ならびにその塩、溶媒和物、互変異性体、およびN−オキシド。
請求項37
ジメチル−カルバミン酸5−ヒドロキシ−2−イソプロピル−4−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−1,3−ジヒドロ−イソインドール−2−カルボニル]−フェニルエステル。
請求項38
本明細書に記載の式(1)、(1a)、(1b)、(1c)、(2)、(3)、(4)、または(5)の化合物、およびその任意の実施形態、グループ、サブグループ、または好ましい選択肢。
請求項39
塩、溶媒和物、互変異性体、またはN−オキシドの形態である、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
請求項40
塩、溶媒和物、または互変異性体の形態である、請求項1〜38のいずれか一項に記載の化合物。
請求項41
(i)Hsp90の阻害剤として;あるいは(ii)Hsp90により仲介される病態もしくは症状の予防または治療において;あるいは(iii)哺乳類における異常な細胞増殖からなるもしくはそれから生じる疾患または症状の治療において;あるいは(iv)癌の治療において;あるいは(v)膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、子宮頚癌、甲状腺癌、前立腺癌、消化管系の癌(例えば、消化管間質性腫瘍)、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌);リンパ球系列の造血系腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、イマチニブ感受性および抵抗性の慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、または前骨髄球性白血病を含む);甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫または横紋筋肉種);中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫(高悪性度神経膠腫)または神経鞘腫);黒色腫(例えば、悪性または転移性黒色腫);精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;角化棘細胞腫;甲状腺瀘胞癌;またはカポジ肉腫(間葉由来の腫瘍の他の例としてはユーイング肉腫がある)の治療において;あるいは(vi)膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、直腸腺癌および直腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌)、食道癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、外分泌膵臓癌)、胃癌、甲状腺癌、前立腺癌、消化管系の癌(例えば、消化管間質性腫瘍)、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌);リンパ球系列の造血系腫瘍(例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫など)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫);骨髄細胞系列の造血系腫瘍(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄性白血病、イマチニブ感受性および抵抗性の慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、ボルテゾミブ感受性および抵抗性の多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患、または前骨髄球性白血病を含む);甲状腺瀘胞癌;間葉由来の腫瘍(例えば、線維肉腫または横紋筋肉種);中枢または末梢神経系の腫瘍(例えば、星状細胞腫、神経膠腫(高悪性度神経膠腫));黒色腫(例えば、悪性または転移性黒色腫);骨肉腫;または甲状腺瀘胞癌(間葉由来の腫瘍の他の例としてはユーイング肉腫がある)の治療において;あるいは(vii)HER2陽性である転移性乳癌;前立腺の腺癌;転移性黒色腫;肺非小細胞癌(NSCLC);肺小細胞癌(SCLC);高悪性度神経膠腫;消化管間質性腫瘍(GIST);結腸直腸癌;膠芽腫;黒色腫;転移甲状腺癌;前立腺癌;および直腸癌から選ばれる癌の治療において;あるいは(viii)結腸直腸癌;膠芽腫;黒色腫;転移甲状腺癌;前立腺癌;および直腸癌から選ばれる癌の治療において使用するための、請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物。
請求項42
請求項41に記載の1またはそれ以上の用途のための薬剤を製造するための、請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物の使用。
請求項43
請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
請求項44
経口投与に適応させた、請求項43に記載の医薬組成物。
請求項45
錠剤またはカプセル剤の形態である、請求項44に記載の医薬組成物。
請求項46
請求項41に記載の病態、症状、または癌の治療を必要とする患者(例えば、ヒトなどの哺乳類)におけるその治療方法であって、治療に有効な量の請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物を前記患者に投与することを含む方法。
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